第18回全国中等学校優勝野球大会

第18回全国中等学校優勝野球大会は、1932年（昭和7年）の夏、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場を舞台に開催された日本の高校野球史における重要な大会です。この大会は、同年3月28日に文部省から発令された訓令第4号、通称「野球統制令」の影響下で初めて実施された全国規模の大会であり、その歴史において初めて文部省の正式な公認を得て開催された記念すべき大会となりました。大会期間は1932年8月13日から21日までの9日間でした。

「野球統制令」の発令は、当時の学生野球、特に中等学校レベルの野球に対する国の管理・指導を強化するものでした。これにより、全国大会の開催には文部省の事前の許可が義務付けられ、大会の主催権、入場料の設定、さらには選手の参加資格に至るまで、細部にわたる規制が設けられることになりました。第18回大会は、このような新たな枠組みの中で行われた最初の大会として、その後の日本の日本の学生野球のあり方を決定づける上で大きな意味を持っています。

大会には、全国各地から厳しい予選を勝ち抜いた代表校が出場しました。それぞれのチームが、甲子園の大舞台で日頃の練習の成果を発揮しようと、懸命にプレーしました。大会の公式記録や、この大会からプロ野球界などで活躍した多くの選手たちの詳細についても、注目すべき点が多くありますが、本記事では提供された情報に基づき、大会の試合結果を中心に概観します。

大会は、白熱したトーナメント戦で進行しました。以下に、提供されている範囲での試合結果を記します。

試合結果

1回戦

明石中 4 - 0 北海中: 兵庫代表の明石中が堅実な戦いぶりで初戦を突破しました。
遠野中 4 - 2 平壌中: 東北代表の遠野中が海外からの参加校を破り、勝ち進みました。
和歌山中 1 - 0 小倉工: 接戦を和歌山中がものにしました。
長野商 16 - 1 千葉中: 長野商が圧倒的な打力を見せつけ大勝しました。
大正中 3 - 2 大連商: 大阪代表の大正中が海外からの参加校に対し粘り勝ちを収めました。
早稲田実 8 - 1 秋田中: 7回表に早稲田実がリードしている場面で降雨のためコールドゲームとなり、早稲田実が勝利しました。

2回戦

早稲田実 1x - 0 和歌山中: 前日のコールド勝ちに続き、早稲田実が延長11回の激闘をサヨナラ勝ちで制しました。
明石中 1 - 0 大正中: 強豪校同士の対戦は、明石中が最小得点差で勝利を収めました。
長野商 6 - 0 遠野中: 長野商が順調に勝ち上がり。
松山商 2x - 1 静岡中: 松山商が緊迫した試合展開の末、サヨナラで準々決勝へ進出。
八尾中 2 - 0 京都師範: 八尾中が安定した戦いぶりで勝利。
中京商 5 - 0 高崎商: 中京商が危なげなく勝ち進みました。
熊本工 11 - 5 台北工: 九州代表の熊本工が打線の繋がりを見せ快勝。
石川師範 3 - 1 米子中: 初戦突破を果たした石川師範がさらに勝ち上がりました。

準々決勝

熊本工 3 - 0 石川師範: 熊本工が準決勝進出を決めました。
松山商 8 - 0 早稲田実: 強豪松山商が早稲田実を破り、準決勝へ。
明石中 3 - 0 八尾中: 地元兵庫の明石中が準決勝へ駒を進めました。
中京商 7 - 2 長野商: 中京商が長野商を下し、準決勝で松山商と対戦することになりました。

準決勝

中京商 4 - 0 熊本工: 中京商が堅い守りと攻撃で決勝進出を決めました。
松山商 3 - 0 明石中: 松山商が地元期待の明石中を破り、決勝へ駒を進めました。

提供された情報によると、決勝戦の対戦カードや結果は確認できませんが、準決勝の結果から、中京商と松山商が決勝で対戦したことが推測されます。

この第18回大会は、野球統制令による国の関与という大きな変化の中で開催されました。これは、単なるスポーツイベントとしてだけでなく、社会的な背景と密接に結びついた出来事として、日本の野球史において非常に重要な位置を占めています。厳格化された規定の下での大会運営は、その後の学生野球における公平性や健全性の追求に繋がる一方で、一定の自由度を制限するという側面も持ち合わせていました。しかし、甲子園という舞台で繰り広げられた球児たちのひたむきなプレーは、いつの時代も人々の心を打ち、この大会も例外ではありませんでした。第18回大会は、文部省公認という新たな時代を迎えた高校野球の、確かな一歩を記した大会と言えるでしょう。

この大会に関連する事項として、同年の春に行われた第9回選抜中等学校野球大会などが挙げられます。これらの大会を通じて、当時の学生野球の様子や、時代背景を感じ取ることができます。

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