第2回全日本都市対抗野球大会

第2回全日本都市対抗野球大会

1928年（昭和3年）の夏、日本の野球界における重要なイベント、第2回全日本都市対抗野球大会が、東京の明治神宮野球場を舞台に開催されました。この大会は、前年に産声を上げた都市対抗野球の歴史において、新たな試みや記憶に残る出来事が相次いだ大会となりました。当初の予定から遅れ、1928年8月5日から8月9日までの期間で行われました。

大会の新しい試みと参加チーム

第2回大会における最も注目すべき変化は、一部地域で初めて地区予選が試験的に導入されたことです。これは、参加都市の代表チームを選抜する仕組みとして、現在の都市対抗野球にも引き継がれる重要な一歩でした。この予選制度の導入により、前年大会で栄光の初代王者に輝いた満洲倶楽部（満洲地区）が予選で敗れるという波乱が起きました。その結果、満洲地区からは新たに大連実業団が代表として全国大会への出場権を獲得しました。前年王者が地区予選で姿を消すという事態は、大会に新たな競争原理が働き始めたことを示していました。

また、今大会には全国から13チームが参加しました。これは前回大会から1チーム増加しており、都市対抗野球が開始から間もない時期にも関わらず、着実にその規模を拡大しつつあることを物語っていました。各地方の強豪チームが一堂に会し、都市の威信をかけて戦う舞台が広がっていったのです。

異例の開幕遅延

大会の開幕は、予測不能な自然の力によって大きく左右されました。当初、大会は8月1日に華々しく開幕する予定でしたが、記録的な大雨が降り続き、グラウンドコンディションの悪化により、やむなく大会は順延されました。待てど暮らせど天候は回復せず、順延期間は実に4日間に及びました。大会関係者や選手たちは、焦燥感と戦いながら開幕を待ち続けました。ようやく試合が行える状況になったのは8月5日。この日も完全な晴天とはならず、小雨が降る中での異例の開幕となりました。この天候による遅延は、大会の行方にも少なからず影響を与えたかもしれません。

大連実業団の優勝と歴史的意義

雨中の開幕、そして連日の熱戦を経て、第2回大会の頂点に立ったのは、満洲地区代表として初出場を果たした大連実業団でした。彼らは厳しいトーナメントを勝ち抜き、見事優勝旗である黒獅子旗を手にしました。

この大連実業団の優勝は、都市対抗野球の歴史において特筆すべき出来事でした。というのも、前年の第1回大会では、海外勢である台北市が優勝しており、大連実業団の勝利によって、黒獅子旗は2年連続で日本の本土を離れ、海を渡ることになったからです。この結果は、当時の日本の野球界、特に本土のチームやファンに大きな衝撃と動揺を与えました。「またしても海外勢に優勝を奪われた」という事実は、本土の野球レベルに対する危機感を煽り、技術向上への意識を高める一因となったとも言われています。大連実業団は、単なる優勝チームとしてだけでなく、日本の野球界に刺激を与えた存在として、第2回大会の歴史に深く刻まれています。

第2回全日本都市対抗野球大会は、初の地区予選導入という制度的な変化、海外勢の強さが再び示された結果、そして天候による異例の事態など、様々な側面から記憶される大会となりました。これらの経験が、その後の都市対抗野球、ひいては日本の野球界全体の発展に繋がっていくことになります。

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