第22回全国中等学校優勝野球大会

第22回全国中等学校優勝野球大会

第22回全国中等学校優勝野球大会は、1936年（昭和11年）の夏、8月13日から8月20日までの期間、兵庫県武庫郡鳴尾村に位置する甲子園球場にて開催されました。全国の予選を勝ち抜いた代表校が、真夏の太陽の下、野球日本一を目指して戦いました。

この大会の大きな特徴として挙げられるのは、甲子園球場の設備改修です。これまで土盛りだった外野スタンドが、この第22回大会に向けて鉄筋コンクリート造りに生まれ変わりました。これにより、球場の観客収容能力が大幅に向上し、より多くの野球ファンが熱戦を間近で観戦することが可能となりました。

熱戦の軌跡

大会はまず1回戦から始まりました。各地から集まった強豪校が、初戦突破を目指して激突しました。このラウンドでは、早くも投打がかみ合ったチームがその実力を見せつけます。例えば、岐阜商は盛岡商を相手に18対0と圧倒的な大差で勝利を収め、強力な攻撃力を印象付けました。また、静岡商も長野商に対し27対4という記録的なスコアで勝利するなど、一方的な展開となった試合が見られました。一方で、育英商が早稲田実業に2対1とサヨナラ勝ちを収めたり、京阪商が松山商に5対4と競り勝つなど、劇的な幕切れとなる試合もあり、観客を沸かせました。

2回戦へ進むと、戦いはさらに白熱しました。全国のレベルの高いチーム同士の対戦が増え、一つ一つのプレーから目が離せません。このラウンドでも大差のつく試合はありましたが、京阪商と静岡商の一戦は特に注目を集めました。両チーム一歩も譲らず、試合は延長戦に突入。10回までもつれ込んだ末、京阪商が5対4で勝利を掴み、激戦を制しました。育英商も嘉義農林を7対5で下すなど、接戦をものにしたチームが次々と準々決勝へ駒を進めました。

決勝への道

準々決勝では、勝ち残った8チームが激突しました。育英商、平安中、桐生中、そして岐阜商といった実力校が順当に勝利を収め、準決勝進出を決めました。準々決勝の試合も、緊迫した投手戦や打撃戦が展開され、大会は最高潮を迎えます。

迎えた準決勝は、決勝進出をかけた大一番となりました。第一試合では、圧倒的な攻撃力を見せてきた岐阜商が育英商と対戦し、7対1で勝利。決勝への切符を手にしました。第二試合は、平安中と桐生中が激突。こちらも緊迫した試合となりましたが、平安中が6対5と僅差で勝利し、岐阜商とともに決勝へ進むこととなりました。

岐阜商と平安中による決勝戦が行われ、第22回大会の優勝校が決定しました。

大会を彩ったホームラン

この大会では、複数の選手によって本塁打が記録されました。特に、岐阜商の野村武史選手が大会第1号、同じく岐阜商の松井栄造選手が第2号、そして静岡商の粳田保選手が第3号となる本塁打を放ち、観客を大いに沸かせました。これらのホームランは、当時の球児たちの長打力や技術力の高さを物語るものです。

この第22回大会は、球場設備の近代化という面でも記憶される大会であるとともに、全国の野球少年たちが熱い戦いを繰り広げた、歴史ある大会の一つとしてその名を刻んでいます。大会の詳しい記録や、この大会に出場した選手の中には、後に日本の野球界で活躍した者もいたことでしょう。

この大会の約半年前、同年の春には第13回選抜中等学校野球大会も開催されており、年間を通じて中等学校野球が盛んに行われていました。第22回全国中等学校優勝野球大会は、そうした野球熱の高まりの中で開催され、多くの人々に感動を与えました。

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