第23回都市対抗野球大会

第23回都市対抗野球大会

1952年8月3日から8月11日までの9日間、東京・後楽園球場を舞台に、第23回都市対抗野球大会が開催されました。この大会には全国各地から選ばれた19チームが出場し、真夏の東京で熱い戦いを繰り広げました。

規定の変更と王者・全鐘紡

本大会では、前年までと規定が一部変更されました。前回大会の優勝チームは予選が免除される代わりに、他のチームから選手を補強することができなくなりました。この新規定を受け、前年度覇者の全鐘紡（貝塚市）は、推薦出場権を返上し、改めて予選を突破して本大会への出場を選択しました。結果として、全鐘紡はこの大会で圧倒的な力を見せつけ、都市対抗野球史上初となる3連覇という偉業を達成しました。これは現在に至るまで破られていない大会記録となっています。

新設された表彰とMVP

この第23回大会から、それまでの殊勲賞が久慈賞とは別に独立して設けられることになりました。これにより、大会で顕著な活躍を見せた9名の選手が殊勲者として表彰されています。

大会の最優秀選手に贈られる橋戸賞には、優勝した全鐘紡の遊撃手である松井実選手が選ばれました。松井選手は日本生命からの補強選手でしたが、前年の大会に続いて2年連続での受賞という快挙を成し遂げました。都市対抗野球の長い歴史の中で、橋戸賞を2年連続で受賞したのは松井選手が初めてであり、次に達成されるのは実に60年以上後、第84回大会での大城基志投手（JX-ENEOS）を待たねばなりませんでした。

惜しくも準優勝に終わった日鉄二瀬のエース、野見山博投手には久慈賞が贈られました。

新たな応援スタイルと国際交流

企業チームの参加が増加し、応援合戦が大会の名物となりつつあったこの頃、後楽園球場のスタンドに応援用の特別な台が設置されました。これは現在の都市対抗野球における特徴的な応援スタイルを確立する上で重要な一歩となりました。

また、この大会の直前には、アジア野球連盟から「アジア野球連盟パーソン杯」が寄贈されました。これは当時の連盟会長であったフィリピン人のチャールズ・パーソン氏にちなんだもので、この大会から第85回大会（2014年）まで優勝チームに授与され、その後野球殿堂博物館に収められました。

さらに、第21回大会後に続き、この大会後にも日米のアマチュア野球チームによる国際交流試合が行われました。「第2回アマチュア野球世界選手権」と銘打たれたこのシリーズでは、全鐘紡の選手を中心に選抜された日本代表チームが、全米ノンプロ野球大会の優勝チーム「コロニアルズ」と対戦しましたが、1勝4敗で日本のチームは敗れました。

大会結果

大会は19チームによるトーナメント方式で行われました。

3位決定戦：三重交通 2 - 1 日本石油（延長13回）
決勝戦：全鐘紡 6 - 0 日鉄二瀬

全鐘紡が圧倒的な強さを見せ、日鉄二瀬を破り優勝を果たしました。

表彰選手

橋戸賞：松井 実 遊撃手（全鐘紡（日本生命））
久慈賞：野見山 博 投手（日鉄二瀬）
殊勲賞：
大沢 貞義 投手（熊谷組）
野見山 博 投手（日鉄二瀬）
服部 力 投手（三重交通）
山村 博敏 一塁手（全鐘紡）
衛藤 正 三塁手（日鉄二瀬）
香川 正 外野手（全鐘紡）
今久留主 功 外野手（日鉄二瀬）
中崎 義夫 外野手（三重交通）
高橋 久雄 外野手（全鐘紡）

第23回大会は、王者の3連覇という記録的な出来事に加え、大会規定の変更、新たな応援スタイルの萌芽、国際的な交流など、都市対抗野球の歴史において様々な転換点となった意義深い大会でした。

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