第23期順位戦

第23期順位戦と第28期名人戦

棋戦の概要と位置づけ

第23期順位戦は、1969年度（具体的には1968年6月から1969年3月にかけての期間）に開催された、プロ将棋界における極めて重要な年間棋戦です。この順位戦は、将棋界で最も長い歴史と最高の権威を持つタイトル戦の一つである「名人戦」への挑戦者を決定するための予選棋戦として位置づけられています。そのため、多くの棋士にとって、名人への道はこの順位戦を勝ち抜くことから始まります。また、ここでは第23期順位戦の結果を受けて行われた第28期名人戦についても記述します。

順位戦システムは、棋士が過去の成績に基づいてA級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組という五つのクラスに分けられ、それぞれのクラス内で年間を通じてリーグ戦を行います。このシステムは、棋士の実力を常に競わせ、上位クラスへの昇級を目指す者、あるいは下位クラスへの降級を回避しようとする者たちの間で、絶えず厳しい競争を生み出しています。

第23期順位戦のクラス構成と昇降級

第23期順位戦も、この厳格なシステムのもとで戦われました。各クラスにおける昇級および降級（または降級点）の枠は以下の通り定められており、クラス間の移動が棋士のキャリアに大きな影響を与えます。

A級:
名人挑戦権獲得: 1名
B級1組への降級: 3名
A級は、将棋界のトップ棋士たちが集まる最激戦区です。ここで1位になれば名人への挑戦権を得られますが、下位になると一気に3名も降級するという、まさに「天国と地獄」を分けるクラスです。

B級1組:
A級への昇級: 2名
B級2組への降級: 3名
A級の次に位置するB級1組では、A級昇級を目指す実力者がしのぎを削ります。2名だけがA級への切符を手にできますが、3名が下位クラスへと降級してしまいます。

B級2組:
B級1組への昇級: 2名
降級点付与: 5名
B級2組では、B級1組への昇級枠が2名に対し、下位には多くの降級点が付与されます。この降級点は累積し、規定数に達するとC級1組へと降級となります。

C級1組:
B級2組への昇級: 2名
降級点付与: 2名
C級1組もまた、B級2組への昇級を目指すクラスです。昇級枠は2名ですが、下位2名に降級点がつき、油断できない戦いが続きます。

C級2組:
C級1組への昇級: 2名
* 降級点付与: 3名
順位戦の最下層にあたるC級2組でも、上位2名だけがC級1組への昇級を果たせます。ここでは特に、多くの棋士に降級点が付与される枠が設けられており、成績不振が続くとプロ棋士としての活動が危ぶまれる厳しい現実があります。

このように、第23期順位戦は各クラスで定められた狭き門を目指す昇級争いと、降級を避けるための厳しい残留争いが同時進行し、多くのドラマを生み出しました。

第28期名人戦七番勝負

第23期順位戦A級を勝ち抜いた棋士は、第28期名人戦七番勝負で当時の名人である大山康晴に挑戦しました。この七番勝負は、絶対王者として君臨していた大山名人と、挑戦者である有吉道夫八段の間で争われました。

戦いは両者一歩も譲らない激戦となり、最終局までもつれ込むフルセットの展開となりました。息詰まる熱戦の結果、大山康晴名人が4勝3敗で挑戦者である有吉八段を退け、見事に名人位の防衛を果たしました。

まとめ

第23期順位戦は、将棋界の最高位である名人への挑戦権、そして各クラスでの昇級・降級を巡る熾烈な年間リーグとして実施されました。この順位戦を経て行われた第28期名人戦七番勝負では、大山康晴名人が挑戦者有吉道夫八段の猛攻を退け、タイトルを防衛しました。この一連の棋戦は、当時の将棋界における実力者たちの競争と、頂点での戦いの厳しさを象徴する出来事として記憶されています。

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