第252予備役機甲師団 (イスラエル国防軍)

第252師団の概要

第252師団（だい252しだん）、通称「アブトゥバ・サイナイ」はイスラエル国防軍に属する機甲師団の一つであり、主に南部軍に配属されています。この部隊は、イスラエル軍において常設として初めて編成された師団で、シナイ半島の防衛を目的として1968年に設立されました。以降、消耗戦争や第四次中東戦争、第一次レバノン戦争など、数多くの重要な軍事作戦に参加してきました。

歴史

創設と消耗戦争 (1968年 - 1970年)

第252師団は1968年12月16日に創設され、イスラエル軍で初めての常設師団となりました。その基礎は第401機甲旅団や第14機甲旅団、さらには様々な支援砲兵部隊から成り立っていました。最初の師団長はアブラハム・アダン少将であり、彼が防衛ライン「バーレブ・ライン」を策定しました。この師団は、スエズ運河の東岸に擁する防御陣地「マオチム」の設営や訓練を行いました。

1969年3月、エジプト軍の砲撃が始まることで消耗戦争が開戦。第252師団は激しい戦闘の中でも冷静に行動し、エジプト軍の攻勢に対抗しました。戦争は1970年9月に終結し、その後シナイ半島は平穏な状況となります。

第四次中東戦争 (1973年)

1973年10月、突如始まった第四次中東戦争で第252機甲師団はスエズ運河前面でのエジプト軍の猛攻に直面しました。この戦いでは、師団長に代わってカルマン・マゲン准将が指揮を執るも、開戦早々、師団は多大な損失を被ります。特に「マオチム」に古参の兵士たちが包囲され、大部分が臣従する事態となりました。

戦闘は続き、10月14日にはエジプト軍が再度攻勢をかけましたが、第252師団は少数の戦力で効果的な反撃を展開し、戦車150輌を撃破する成果を上げました。以後、部隊はスエズ運河を渡河し、エジプト軍を包囲しましたが、1974年3月にマゲンが戦死し、次の司令官が指名されました。

第一次レバノン戦争 (1982年)

1981年には、イスラエル軍のレバノン侵攻作戦が開始され、イスラエル北部を担当する第252機甲師団も派遣されます。この戦争で師団長はヤーコヴ・ラピドット准将が務め、主要な戦闘が6日間で終了しました。任務を終えた第252機甲師団は、1985年4月にレバノンから撤収、その後は予備役部隊に変更されました。

現在の状況

現在第252予備役機甲師団はエジプトとイスラエルの国境防衛を担当し、ラファからネゲヴ山にかけてその防衛を担っています。第252師団の構成も見直され、予備役部隊として編制が整えられています。主な部隊には新たに補強された機甲旅団や歩兵旅団が組み込まれています。

編成について

現在の第252予備役機甲師団には、次のような部隊が属しています：

• - 第10/第164「ハレル」予備役機甲旅団
• - 第12「ネゲヴ」予備役歩兵旅団
• - 第14「バイソン/マアツ」予備役機甲旅団
• - 第425「ファイア・フレイム」予備役砲兵連隊
• - 第646「スカイフォックス」予備役空挺旅団

師団長は過去には少将がついていましたが、現在は准将が指揮を担当しています。

まとめ

第252師団はその長い歴史を通じて、作戦や戦闘で数々の役割を果たしてきました。その経験や教訓は、今後の部隊運用においても重要な指針となることでしょう。

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