第26回都市対抗野球大会

第26回都市対抗野球大会

1955年（昭和30年）8月1日から8月10日まで、野球の聖地・後楽園球場にて、アマチュア野球の最高峰たる都市対抗野球大会の第26回大会が開催されました。経済が復興の歩みを進めるにつれて、予選に参加する社会人野球チームは増加の一途をたどっており、この大会への注目度も高まっていました。前回大会は記念大会として特別に25チームが出場しましたが、今大会も引き続き同数のチームが全国の予選を勝ち抜き、本戦への出場権を得ました。

この大会は、その後の日本野球にとって重要な位置づけを持つこととなります。本大会で栄冠に輝いたチームは、同年アメリカ・ミルウォーキーで開催された記念すべき第1回世界野球大会へ派遣される全日本チーム編成の中核を担うことになったのです。また、今大会から、同一選手が10年連続で本大会に出場した場合にその長年の功績を表彰する新制度が導入されました。記念すべき第1号受賞者には、日本石油の内野手、吉村英次郎選手が名を刻みました。

大会を制し、第1回世界野球大会へ繋がる栄誉を手にしたのは、大阪市代表の全鐘紡でした。決勝では鐘淵化学（加古川市）を破り、3年ぶりとなる頂点に立ちました。これにより、全鐘紡は東京倶楽部に並ぶ大会最多タイとなる4度目の優勝を果たしたのです。全鐘紡の快進撃を支えたのは、予選で惜しくも敗退した日本生命からの補強選手が見事にチームに融合したことでした。彼らの活躍もあり、全鐘紡は本戦で戦った全ての試合、合計5試合を勝ち抜きました。指揮を執った牧野直隆総監督、大槻守治監督は、両名とも自身にとって3度目の都市対抗優勝監督という輝かしい記録を打ち立てました。

大会の最終日は、3位決定戦と決勝戦が行われました。3位決定戦では、日本石油（横浜市）が東京ガス（東京都）を下し、3位となりました。

3位決定戦（8月10日）
日本石油 〇 - ● 東京ガス
勝利投手：山本、敗戦投手：鈴木義
本塁打：宮原（日石）

決勝戦（8月10日）
全鐘紡 〇 - ● 鐘淵化学
勝利投手：松本繁、敗戦投手：山本治
本塁打：増田（鐘淵）
（全鐘紡は3年ぶり4回目の優勝）

個人にも多くの栄誉が与えられました。

橋戸賞（最優秀選手）：松本豊遊撃手（全鐘紡）
久慈賞（殊勲選手）：山本治投手（鐘淵化学）
首位打者：小淵泰輔三塁手（東洋高圧大牟田）。彼の打率.800（10打数8安打）は、当時の大会新記録でした。
* 10年連続出場表彰：吉村英次郎内野手（日本石油）。

第26回大会は、戦後の社会人野球が再び隆盛を迎えつつある中で開催され、新たな歴史の始まりを告げる大会となりました。優勝チームが世界大会へ派遣されるという特別な機会、そして選手の長年の功績を称える新制度の導入など、記憶に残る大会として歴史に刻まれています。

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