第27回東京国際映画祭

第27回東京国際映画祭：2014年の映画祭を振り返る

2014年10月23日から31日までの9日間、第27回東京国際映画祭が開催されました。六本木を主会場に、日本橋、銀座、そして歌舞伎座といった都内各地で多彩なプログラムが展開されました。本稿では、映画祭の概要から上映作品、受賞作品、イベントまで、その模様を詳細にレポートします。

映画祭の幕開けと概要

7月にはオープニング作品とクロージング作品が発表され、8月には記者会見で新たなロゴや特集上映「庵野秀明の世界」のラインナップなどが明らかになりました。9月には特別招待作品が発表され、10月には虎ノ門ヒルズで全作品のラインナップ発表会が開催。ニコニコ生放送でもライブ中継され、多くの注目を集めました。

上映会場は、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、シネマート六本木、TOHOシネマズ日本橋、そして歌舞伎座と多岐に渡りました。特に、六本木が主要会場となったのは、2004年の第17回から11回連続です。日本橋は2回目、銀座は初めての開催となりました。東京国立近代美術館フィルムセンター大ホールでは、「N.Y.近代美術館コレクション」が特別に開催されました。

多彩なプログラムと新設部門

コンペティション部門をはじめ、特別招待作品、アジアの未来、日本映画スプラッシュ、ワールド・フォーカス、そして新設された国際交流基金アジアセンターpresents「CROSSCUT ASIA #01魅惑のタイ」など、計6部門の自主企画に加え、「庵野秀明の世界」「歌舞伎座スペシャルナイト」といった共催・提携企画も数多く実施されました。

特に注目すべきは、第27回から新設された「CROSSCUT ASIA」部門です。アジアの国や監督、俳優、テーマなどを設定し、アジア映画を特集上映するこの部門は、初回となる2014年はタイ映画に焦点を当てました。国際交流基金アジアセンターとの連携により、日本とアジアの映画交流事業を促進する取り組みの一環として位置づけられています。

また、コンペティション部門の最高賞は、従来の「東京サクラグランプリ」から「東京グランプリ」に戻されました。オープニング作品は『ベイマックス』、クロージング作品は『寄生獣』で、クロージング作品の上映は例年と異なり、最終日の前日に行われました。オープニングイベントは、レッドカーペットで行われました。

チケット販売と学生料金

第25回から導入された電子チケットサービスは、第27回でも継続されました。前年はQRコード画像をダウンロードして入場するシステムでしたが、第27回ではQRコード画像自体がチケットとなりました。学生の当日料金500円も一部部門で継続され、オンラインでの購入も可能となりました。

映画祭ロゴは、東京の「T」と映画用フィルムを組み合わせた新しいデザインに変更されました。また、これまでの実績を称える「サムライ“SAMURAI”賞」が新設され、北野武氏とティム・バートン氏が受賞しました。さらに、WOWOWの加入者から選出された選考委員が選ぶ「WOWOW賞」も新設されました。

公式サイトには、作品紹介ページに映画.comの記事へのリンクが掲載されるなど、情報提供の充実が図られました。コンペティション部門のプログラミング・ディレクターは矢田部吉彦氏、アジアの未来部門は石坂健治氏が担当しました。

上映作品と受賞結果

上映作品は、ワールド・プレミア、インターナショナル・プレミア、アジアン・プレミアなど、様々な形態で上映されました。原則として英語字幕と日本語字幕付きでの上映でしたが、一部作品では英語字幕なしでの上映も行われました。個々の作品の詳細については、公式ウェブサイトを参照ください。

コンペティション部門では、『神様なんかくそくらえ』が東京グランプリを受賞しました。その他、最優秀監督賞、最優秀女優賞、最優秀男優賞、最優秀芸術貢献賞、観客賞などが発表されました。アジアの未来部門、日本映画スプラッシュ部門でもそれぞれ作品賞が選出されました。

その他のイベントと関係者

「庵野秀明の世界」「歌舞伎座スペシャルナイト」「特別上映」「みなと上映会」「文化庁映画週間」「N.Y.近代美術館映画コレクション」など、多くの共催・提携企画が行われました。フェスティバル・ミューズには中谷美紀さん、フェスティバル・ナビゲーターには岡本あずささんとハリー杉山さんが、スペシャルアンバサダーには嵐が就任しました。

様々なイベントやセミナー、そして多くの関係者によって彩られた第27回東京国際映画祭は、多様な映画作品と充実したプログラムで、来場者へ多くの感動を与えたと言えるでしょう。

もう一度検索