第28回明治神宮野球大会

第28回明治神宮野球大会は、1997年（平成9年）の晩秋、11月15日から11月19日までの5日間にわたり、東京都新宿区にある明治神宮野球場と明治神宮第二球場を舞台に開催されました。この大会は、高校野球と大学野球のそれぞれにおいて、その年を締めくくる全国規模の学生野球大会として位置づけられています。全国各地区の予選を勝ち抜いた強豪校が集結し、一年間の集大成として熱い戦いを繰り広げました。

大会概要

この第28回大会において、特に注目を集めたのは大学の部でした。優勝を果たした近畿大学が、日本の学生野球界に新たな歴史を刻んだのです。近畿大学は、この明治神宮野球大会での優勝をもって、同年度に開催された主要なアマチュア野球大会の全てを制覇するという快挙を達成しました。具体的には、春季および秋季のリーグ戦、大学日本一を決める全日本大学野球選手権大会、プロ入り前の大学生・社会人選手が一堂に会する全日本アマチュア野球王座決定戦、そしてこの明治神宮野球大会の全てで頂点に立ったのです。

この「アマチュア五冠」と呼ばれる偉業は、日本の学生野球史上において前例のない、まさに前人未踏の記録でした。一校が同一年度内にこれほど多くの主要タイトルを総なめにすることは極めて困難であり、近畿大学チームの突出した実力、指導体制、そして選手たちの弛まぬ努力の証と言えるでしょう。この五冠達成は、当時の大学野球界に大きな衝撃と感動を与え、歴史的な瞬間として今も語り継がれています。

各部門の戦い

大会は大学の部と高校の部に分かれて実施されました。大学の部には、全国の主要地区から代表校が集結し、トーナメント方式で優勝を目指しました。各校は厳しい予選を勝ち抜いてきただけあり、レベルの高い試合が展開されました。決勝戦へと駒を進めたのは、この年破竹の勢いを見せた近畿大学でした。近畿大学は勢いそのままに決勝戦も制し、歴史的な五冠達成を成し遂げました。

一方、高校の部でも、秋季地区大会を勝ち抜いた全国の強豪校が出場しました。翌年の春の甲子園大会（選抜高等学校野球大会）を占う意味合いも持つこの大会は、未来のスター候補生たちの躍動の場となりました。出場校は、それぞれが各地区の代表として誇りを胸に、全力を尽くしました。こちらも大学の部と同様に、代表校による組み合わせ抽選が行われ、熱戦が繰り広げられました。高校生らしいひたむきで全力プレーは、多くの観客を魅了しました。そして、勝ち上がった二校による決勝戦が行われ、第28回大会の高校の部優勝校が決定しました。

閉幕と関連事項

5日間にわたる熱戦の末、1997年の学生野球の頂点が決定し、大会は幕を閉じました。特に大学の部における近畿大学のアマチュア五冠達成は、この大会の最大のハイライトであり、日本の野球史に燦然と輝く金字塔として記憶されることでしょう。

この大会に関連する他の主要な学生野球大会としては、大学日本一を決める全日本大学野球選手権大会（この年は第46回大会）、そして翌年に開催される高校野球の二大大会である選抜高等学校野球大会（第70回大会）や全国高等学校野球選手権大会（第80回大会）などがあります。これらの大会もまた、日本の学生野球の発展において重要な役割を果たしています。

もう一度検索