第29回都市対抗野球大会

第29回都市対抗野球大会

1958年の夏、日本の社会人野球の最高峰を決定する第29回都市対抗野球大会が、7月27日から8月4日までの期間、東京の後楽園球場にて盛大に開催されました。

前年の大会では、前々年の覇者である日本石油が予選で敗退するという波乱がありましたが、その大会で初優勝を飾った熊谷組は、今大会の予選も危なげなく突破し、本大会への連続出場を4年に伸ばしました。このように強豪チームが実力を維持する一方で、今大会の初出場チームは4チームと、この時期から都市対抗野球に出場する企業チームの顔ぶれが徐々に固定化されていく傾向が見られ始めました。

数々の熱戦が繰り広げられた本大会で、見事に頂点に立ったのは横浜市・日本石油です。日本石油は、1回戦で松下電器を相手に終盤に劇的な逆転勝利を収めるなど、苦しい場面での勝負強さを見せました。さらに、大会を通してエースを中心に投手陣が安定したピッチングを披露し、チームを支えました。この投打の粘り強いかみ合わせにより、日本石油は決勝まで勝ち進みました。

大会最終日の8月4日に行われた決勝戦では、日本石油が日鉄二瀬と対戦しました。この試合では、日本石油の伊藤投手が相手打線を抑え込む好投を見せ、日鉄二瀬の井投手が敗戦投手となりました。また、日本石油からは菅沼選手と林選手が本塁打を放つなど、攻撃陣も存在感を示しました。この勝利により、日本石油は2年ぶり2度目の都市対抗野球大会優勝の栄冠に輝きました。

なお、大会の結果としては、優勝が横浜市・日本石油、準優勝が門司市（現北九州市）・日鉄二瀬となりました。3位決定戦も行われましたが、詳細は不明です。

大会を通して特に活躍した選手や監督には、以下の表彰が行われました。

橋戸賞（最優秀選手）：伊藤 正敏 投手（日本石油）
久慈賞（敢闘賞）：井 洋雄 投手（日鉄二瀬）
* 小野賞（優秀監督賞）：増山 桂一郎 監督（日本石油）

特に橋戸賞を受賞した日本石油の伊藤投手は、優勝の原動力としてチームを牽引する活躍を見せました。また、準優勝チームから敢闘賞として選ばれた日鉄二瀬の井投手も、チームの決勝進出に大きく貢献したと言えるでしょう。日本石油の増山監督は、的確な采配でチームを勝利に導き、優秀監督賞に輝きました。

この第29回大会は、前年覇者の安定感、出場チームの固定化傾向、そして横浜市・日本石油の粘り強い戦いと投手力を中心とした優勝劇が印象的な大会となりました。

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