第3次近衛内閣

第3次近衛内閣の概要

第3次近衛内閣は、近衛文麿が第39代内閣総理大臣に任命された内閣で、1941年7月18日から同年10月18日までの約3ヶ月間にわたり施政を行いました。この内閣は、内閣改造という形をとり、外交政策の変革と国際関係の緊張を背景に設立されました。

閣僚の人事

近衛内閣の国務大臣は、全員が1941年7月18日に任命され、その在職日数は93日という短いものでした。内閣の書記官長および法制局長官は留任し、政務次官や参与官の任命は行われませんでした。この内閣発足時の閣僚たちは、外交政策に強い影響を持つ人物が多く、特に松岡洋右外相は前内閣よりも激しい発言が多く問題視されていました。

内閣の動き

戦局が緊迫化する中、近衛内閣は松岡外相の更迭を急務として捉え、内閣の総辞職手続きを経て新たに内閣を発足させるという手法を取ります。新たな外相には豊田貞次郎が抜擢され、日米間の連携強化を図ろうとしましたが、アメリカとの関係は悪化の一途を辿ります。

7月26日、アメリカは日本の資産を凍結し、8月1日には石油の対日輸出を禁止する措置を講じました。これに対し、日本は9月6日の御前会議で「対米戦争の準備を完了し、交渉の目途が立たなければ開戦する」という国策を決定します。海軍からは「アメリカの要求を飲む覚悟で交渉すべき」という意見が出る一方、陸軍内部では強硬な態度が優勢であり、近衛は陸軍の了承を得ることに苦しみます。

近衛は、アメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領との首脳会談を計画し、対話を通じて問題解決を試みようとします。しかしアメリカ側は最終段階での会談を提示するものの、事前に実質的な合意を形成することを求めてきました。このため、近衛の戦略は実現に至らず、次第に追い込まれていきます。

結末とその後

交渉の難航や松岡不在の影響は重く、国政は不安定な状況に陥ります。10月14日、東條英機陸相は閣議で近衛との今後の会合を中止すると宣言し、内閣への不満を露わにしました。続いて発覚したゾルゲ事件では、尾崎秀実が逮捕され、近衛自身もその巻き込まれる懸念から退陣の危機を迎えます。

最終的に、近衛は1941年10月16日に総辞職を決定し、わずか約3ヶ月でその任期を終えることとなりました。この内閣の国策は、新たな首班となった東條に引き継がれる形となり、一旦はその策の再検討が求められることとなります。

結論

第3次近衛内閣は、国際情勢の変化に翻弄されながら短期間での施政を強いられ、内閣の外部からの圧力と内部の対立で動きにくさを感じる場面が多く見受けられました。その運営は、次代の政権に大きな影響を与えることとなる歴史的なものでした。

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