第31回社会人野球日本選手権大会

2004年（平成16年）の社会人野球シーズンを締めくくる第31回社会人野球日本選手権大会は、同年11月20日から11月29日までの期間、大阪ドームを舞台に開催されました。

この年の大会は、予選段階から波乱が相次ぎました。同年夏の都市対抗野球で頂点に立った王子製紙が東海予選でまさかの敗退を喫し、前年の本大会優勝チームである日産自動車も関東予選で姿を消すなど、多くの強豪チームが本選出場を逃しました。一方で、本大会に初出場を果たしたチームは、ニチダイのみでした。

大会本戦では、打撃面において金属バットへの順応が進んできた影響か、一部の試合で大量得点や一方的な展開が見られるようになりました。その一方で、緊迫した接戦も少なくなく、2003年シーズンから公式戦に導入されていたタイブレーク制度が、都市対抗、日本選手権を通じて初めて適用される試合も生まれました（1回戦のJR西日本対七十七銀行戦）。

激戦を制し、初優勝を飾ったのはJFE西日本でした。このチームは、会社統合を経て誕生からわずか2年目という新興勢力であり、同年の都市対抗野球には出場できませんでした。その雪辱を果たすかのように、本大会では投手力と打撃がかみ合ったバランスの取れた戦いを展開し、着実に勝ち上がりました。

決勝戦は11月28日に行われ、JFE西日本は大阪ガスと対戦しました。この決勝戦は、互いに譲らない投手戦、守備戦となり、大会記録を更新する延長15回にも及ぶ死闘となりました。緊迫した均衡が破られたのは延長15回。JFE西日本が値千金のソロホームランを放ち、これが決勝点となりました。そのわずか1点を守り抜き、JFE西日本が記念すべき初優勝を飾りました。対する大阪ガスは、惜しくも2年連続で準優勝という結果に終わりました。

大会を通じて活躍した選手には、以下の表彰が与えられました。

最高殊勲選手賞: 田中敬人（投手：JFE西日本） - 優勝チームのエースとしてチームを牽引。
敢闘賞: 坂本健二（投手：大阪ガス） - 準優勝チームの投手として力投を見せた。
打撃賞: 福竹政人（内野手：JFE西日本） - 決勝戦で決勝ホームランを放つなど、勝負強い打撃を披露。
首位打者賞: 西田朋生（内野手：NTT西日本） - 14打数7安打、打率.500を記録。

また、特に活躍が顕著だった選手には、以下の大会優秀選手が選出されました。

投手
山下敬之（JFE西日本）
田中敬人（JFE西日本）
能見篤史（大阪ガス）
坂本健二（大阪ガス）
山田幸二郎（大阪ガス）
岸田護（NTT西日本）
野間口貴彦（シダックス）
神田幸輝（サンワード貿易）
渡邉恒樹（NTT東日本）
捕手
小谷良文（JFE西日本）
小野和隆（大阪ガス）
一塁手
徳山達訓（JFE西日本）
中本拓（大阪ガス）
西田朋生（NTT西日本）
二塁手
宮崎昌樹（NTT西日本）
佐藤二朗（シダックス）
三塁手
福竹政人（JFE西日本）
脇谷亮太（NTT西日本）
遊撃手
森永孝（JFE西日本）
外野手
永井裕也（JFE西日本）
難波和彦（JFE西日本）
溝下進崇（大阪ガス）
指名打者
* 大崎有倫（JFE西日本）

この第31回大会は、予選の波乱、初めてのタイブレーク適用、そして大会史上最長となる延長戦の末の劇的な初優勝と、記憶に残る一幕が多い大会となりました。

もう一度検索