第35回社会人野球日本選手権大会

第35回社会人野球日本選手権大会 概要

2008年（平成20年）11月13日から同月23日までの期間、大阪府の京セラドーム大阪を舞台に、第35回社会人野球日本選手権大会が開催されました。この大会は、その年の社会人野球シーズンを締めくくる重要な大会の一つです。

注目されたチームと戦いの軌跡

大会前、最大の注目を集めたのは、夏の都市対抗野球大会を圧倒的な強さで制した新日本石油ENEOSでした。彼らは順調に勝ち進んだものの、準決勝で惜しくも敗退。東芝に続く史上2チーム目の夏秋連覇という偉業達成はなりませんでした。

一方、パナソニックは近畿予選を突破し、大会連続出場記録を15年に伸ばしました。さらに、通算出場回数も最多タイとなる30回を数え、社名変更後、最初の社会人野球日本選手権大会に堂々と臨みました。

決勝戦とトヨタ自動車の栄冠

決勝戦は、前年に続き2年連続で愛知県勢同士の顔合わせとなりました。対戦したのは、夏・秋を通じて初めての日本一を目指すJR東海と、大会連覇を狙うトヨタ自動車です。試合は緊迫した展開となりましたが、トヨタ自動車が終盤に逆転に成功。劇的な勝利でJR東海を下し、2年連続2回目となる優勝旗を手にしました。

個人タイトルと優秀選手

大会の最高殊勲選手（MVP）には、決勝を含む本大会で3勝を挙げ、チームの優勝に大きく貢献したトヨタ自動車の大谷智久投手が選ばれました。敢闘賞には、決勝で熱投を見せたJR東海の川野慎也投手が、打撃賞には決勝で本塁打を放つなど活躍したトヨタ自動車の田中幸長外野手がそれぞれ輝いています。

また、日本生命の大島洋平外野手が16打数9安打、打率.563という驚異的な数字を残し、首位打者賞を獲得しました。

さらに、大会を通じて特に活躍が顕著だった選手たちが優秀選手として表彰されました。トヨタ自動車、JR東海、日本生命、新日本石油ENEOSなど、決勝進出チームや上位進出チームを中心に、投手には大谷智久、川野慎也、田澤純一、野手には佐野比呂人、日野原宏和、荒波翔、荻野貴司、大島洋平といった選手たちが選出されています。

大会運営と特記事項

この大会では、前年の都市対抗野球および東京スポニチ大会で新日本石油ENEOSが優勝したため、所属する関東地区に対し、日本選手権への出場枠が1枠追加される措置が取られました。

また、決勝戦のテレビ中継については特異な状況がありました。通常、NHKの地上波でスポーツ中継が行われますが、この日は大相撲九州場所（総合テレビ）と関東大学ラグビー対抗戦「早稲田対慶應」（教育テレビ）が予定されており、放送日程の都合がつかなかったため、NHK BS1にて生中継されました。

グラウンドでの熱戦に加え、応援団の活躍も讃えられ、住友金属鹿島とJFE西日本の応援団が元気賞を受賞。大会を盛り上げました。

第35回大会は、強豪チームの躍進と波乱、そして愛知勢によるハイレベルな決勝戦など、多くのドラマを生んだ記憶に残る大会となりました。

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