第36回日米大学野球選手権大会日本代表

2007年の夏、第36回日米大学野球選手権大会がアメリカ合衆国で開催されました（会期：2007年7月4日～7月8日、いずれも現地時間）。この栄誉ある大会に出場した日本代表チームは、単にこの大会での勝利を目指すだけでなく、翌2008年にチェコで開催される第4回世界大学野球選手権大会をも見据えた、2年越しの育成強化計画の一環として編成された特別なチームでした。

チーム体制

代表チームの指揮官には、2008年の世界大学野球選手権でも引き続き采配を振るうことが決まっていた監督・コーチ陣がそのまま起用されました。これは、一貫した指導のもとでチームを育成し、将来へつなげていくという明確な意図を示すものでした。選手構成においても、全22名の代表選手のうち、3年生以下の選手が14名を占めるという、将来の日本大学野球界を担う若手育成に重きを置いた編成が特徴でした。（選手の所属および学年は、選出当時の情報に基づきます。）

シリーズの展開

全5戦で行われたシリーズは、両チームにとって非常にタフな戦いとなりました。

第1戦（7月4日、於ダーラム）：初戦はアメリカに7対2で敗れ、黒星スタートとなりました。日本の投手陣は、先発の大場投手が失点するなど、相手打線の勢いを止めきれませんでした。（敗戦投手：大場。他に海田、巽が登板。捕手は細山田。）
第2戦（7月5日、於カナポリス）：舞台をカナポリスに移して行われた第2戦は、緊迫した投手戦となりましたが、日本が3対2で競り勝ち、シリーズ成績を1勝1敗のタイに戻しました。この試合で勝利投手となったのは加藤投でした。（勝利投手：加藤。村松も登板。捕手は細山田。）
第3戦（7月6日、於ダーラム）：再びダーラムに戻っての第3戦も、1点を争う投手戦となり、日本が2対1で勝利しました。この勝利で日本はシリーズに王手をかけましたが、特に注目すべきは、この試合で勝利投手となった斎藤佑樹投手（早稲田大学1年）です。日米大学野球選手権において、日本の1年生投手がアメリカ相手に勝利を挙げるのは大会史上初めての快挙でした。（勝利投手：斎藤。他に海田、村松が登板。捕手は細山田。）
第4戦（7月7日、於ダーラム）：日本は第4戦でアメリカに5対2と快勝し、この時点でシリーズ優勝を決めました。前日の勝利に続き、この試合でも先発の大場投手が勝利投手となり、チームを勝利に導きました。（勝利投手：大場。捕手は大野。）
* 第5戦（7月8日、於ダーラム）：既に優勝を決めた後の最終戦は、アメリカが意地を見せ、日本が3対7で敗れました。最終戦では複数の投手が登板し、シリーズを締めくくりました。（敗戦投手：斎藤。他に根本、榊原、巽、加藤、海田、村松が登板。捕手は細山田。）

歴史的な優勝

日本代表は、最終的にシリーズを3勝2敗で制し、見事優勝トロフィーを手にしました。これは、1969年に日米大学野球選手権大会が始まって以来、アメリカ合衆国で開催された大会としては19回目の開催にして、日本代表にとって初の快挙でした。長年の目標であった「アウェイでの優勝」を達成したことは、日本大学野球界にとって大きな歴史的節目となりました。

若きヒーローたちの躍動

この大会では、将来有望な若手選手たちがその才能を遺憾なく発揮しました。中でも、シリーズ全体の最高殊勲選手（Most Valuable Player, MVP）に選ばれた村松伸哉選手（國學院大學1年）の活躍は特筆されます。村松選手が日本の1年生選手として日米大学野球選手権の最高殊勲選手に輝いたのは、これもまた斎藤投手の勝利投手と同様に大会史上初の出来事であり、大会の優勝とともに、若き才能の台頭を強く印象づける結果となりました。

大会の意義

第36回日米大学野球選手権大会における日本代表の優勝は、単に強敵アメリカを破ったというだけでなく、翌年の世界大会を見据えた計画的なチーム強化、そして歴史に名を刻む若手選手の活躍という、多くの点で意義深いものでした。アメリカの地で初めて成し遂げた優勝は、今後の大学野球日本代表の活動にとって、大きな自信と礎となる経験となったことは間違いありません。

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