第36回都市対抗野球大会

第36回都市対抗野球大会

1965年の真夏、東京都の後楽園球場を舞台に、社会人野球の最高峰を決定する第36回都市対抗野球大会が開催されました。会期は7月25日から8月3日までの10日間です。

この大会は、前年に東京オリンピック開催記念として特別に32チームが出場した形式から変更され、第41回大会までの間、本戦出場チーム数が30または31チームに固定されるという新たな体制でのスタートとなりました。今大会は30チームが都市の代表として出場しました。

大会は、いきなり波乱の幕開けとなりました。前年の覇者である日本通運（浦和市）が開幕試合に登場しましたが、三菱重工神戸（神戸市）に0対1という僅差で敗退。大会序盤から予測不能な展開が待ち受けます。

今大会の特徴として顕著だったのは、「東低西高」、つまり西日本勢の勢いが目立ったことです。準々決勝に進出した8チームのうち、実に7チームが西日本からの代表チームでした。東日本勢としては唯一、日立製作所（日立市）がベスト8に残るという結果になりました。

熱戦を勝ち抜き、決勝まで駒を進めたのは、大阪市代表の電電近畿と和歌山市代表の住友金属でした。電電近畿は、日本生命（大阪市）から補強選手として加わったエース、小弓場保投手が圧巻のピッチングを披露。準決勝までの激闘を経て、決勝戦でもマウンドに立ち、大会を通じて驚異の5連投というタフネスぶりを見せつけました。小弓場投手の力投に支えられた電電近畿は、住友金属との息詰まる投手戦を制し、見事にチーム史上初の黒獅子旗を獲得しました。

惜しくも準優勝に終わった住友金属ですが、チームを牽引した清沢忠彦投手の活躍も特筆に値します。また、3位決定戦では四国銀行（高知市）が大分鉄道管理局（大分市）を5対2で下し、3位に入賞しています。

大会の活躍選手に贈られる個人賞は以下の通りです。

橋戸賞（最優秀選手賞）：小弓場 保 投手（電電近畿：日本生命からの補強）
久慈賞（殊勲選手賞）：清沢 忠彦 投手（住友金属）
小野賞（最も郷土色を発揮したチームに贈られる）：大分鉄道管理局（大分市）

また、球場を彩る応援団のコンクールも開催され、以下のチームが受賞しました。

最優秀賞：松下電器（門真市）
優秀賞：全鐘紡（大阪市）
努力賞：四国銀行（高知市）、日立製作所（日立市）

このように、第36回大会は出場チーム数の新たな定着、前回王者の早期敗退、そして西日本勢の躍進といった特徴を持つ大会でした。中でも、優勝した電電近畿の小弓場投手の獅子奮迅の活躍は、多くのファンの記憶に残るものとなりました。

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