第37期順位戦

第37期順位戦

第37期順位戦は、1979年度、具体的には1978年6月から1979年3月にかけて実施された、将棋界における権威ある名人戦への挑戦者を決定する重要な予選棋戦です。同時に、このリーグ戦は全棋士の序列を定める役割も担っています。

順位戦という名称は長きにわたり将棋界で用いられていますが、第36期から第43期にかけての約8年間は、公式には「順位戦」という呼称が使用されませんでした。この期間、A級は「名人戦挑戦者決定リーグ戦」、B級1組以下の各クラスは「昇降級リーグ戦」という名称で進行しました。しかし、この名称変更はあくまで呼称上の違いにとどまり、リーグ戦の制度や昇降級のルールなどに大きな変更はありませんでした。そして、第44期からは再び正式名称として「順位戦」に戻されています。本項では、この期間の棋戦についても、便宜上、現在広く用いられている「順位戦」という名称で記述を進めます。

この第37期順位戦は、参加棋士たちが各クラスに分かれ、一年間をかけて熱戦を繰り広げました。リーグ戦の結果は、翌年度の名人戦挑戦権に直結するA級リーグの勝者、そして各クラス間での昇級・降級者を決定します。各クラスにおける昇降級の定員は以下の通りでした。

A級（名人戦挑戦者決定リーグ戦）: 名人挑戦者 1名、降級 2名
B級1組（昇降級リーグ戦1組）: 昇級 2名、降級 1名
B級2組（昇降級リーグ戦2組）: 昇級 2名、降級点 3名
C級1組（昇降級リーグ戦3組）: 昇級 2名、降級点 3名
* C級2組（昇降級リーグ戦4組）: 昇級 3名、降級点 6名

各棋士は自身のクラスで他の棋士と対局を行い、その勝敗によって順位が決定されます。特にA級リーグは、将棋界の頂点である名人への挑戦権をかけた最高峰の戦いであり、ここで1位となった棋士が名人戦七番勝負の舞台に進出します。B級1組以下のクラスでも、上位に入れば昇級を果たし、より上位のクラスでの対局権を得ることができます。一方で、下位に沈むと降級あるいは降級点が課せられ、翌年度の戦いが厳しくなります。C級2組においては降級点が累積すると降級となり、最終的には引退にも繋がりうるため、厳しい残留争いが繰り広げられました。

第37期名人戦七番勝負

順位戦の結果を受けて行われる名人戦は、将棋界で最も歴史と権威のあるタイトル戦です。第37期の名人戦七番勝負では、当時の名人であった中原誠名人に、A級リーグを勝ち抜いた米長邦雄八段が挑戦しました。七番勝負は両者の高い棋力がぶつかり合う名勝負となりましたが、結果は中原誠名人が4勝2敗で米長八段を下し、見事に名人位を防衛しました。

このように、第37期順位戦は、名人挑戦者を輩出し、各棋士の明暗を分けた重要な棋戦であり、その後に続く名人戦七番勝負と合わせて、将棋界の歴史に刻まれる一年となりました。名称変更という特別な期間ではありましたが、その内容は変わらず、将棋界の根幹をなす棋戦として、多くのドラマを生みました。

第37期順位戦および名人戦は、中原誠名人の防衛という結果とともに幕を閉じましたが、各クラスでの激しい昇級・降級争いは、参加した棋士一人ひとりの将棋人生における重要な節目となりました。この一年となりました。

（注: 本文中の「昇降級リーグ戦1組」等は、便宜上B級1組等の名称で表記しています）

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