第38回日本選手権競輪

第38回日本選手権競輪決勝戦

1985年、立川競輪場を舞台に開催された第38回日本選手権競輪。3月26日に行われた決勝戦は、波乱とドラマに満ちた展開となった。

レース展開

レースは、滝澤が先頭を取り、馬場、伊藤、三好、千田、滝澤、小林、清嶋、山口、尾崎という並びでスタート。残り2周を過ぎたあたりで、滝澤と小林が外から馬場ラインを抑え込む動きを見せた。その後、清嶋が誘導員の古林の後ろにつけ、ペースが上がると同時に先頭へ。ジャンが鳴ると、清嶋は誘導員を使いながら、山口、尾崎を連れて一気に先行体制に入った。

最終ホームで、馬場が捲り返しに出るも、滝澤に牽制され、最終バック付近で行ききることができなかった。清嶋はそのまま快調に逃げ切り、見事1着でゴール。地元立川での悲願の特別競輪（現在のGI）制覇を達成した。2着には、尾崎が山口を交わして入線した。

フラワーラインの終焉

このレースで、特に注目されたのが滝澤の動きであった。清嶋が逃げる展開に対し、滝澤は馬場ラインを牽制するだけで、自ら動いて清嶋を追いかけるような動きは一切見せなかった。この消極的なレース運びは、場内から激しい非難の的となった。当時、滝澤は「フラワーライン」の一員として知られており、ファンもそれを承知していた。しかし、清嶋の逃げに対して、何もしないまま終わった滝澤の走りは、滝澤絡みの車券を買っていたファンにとっては到底許せるものではなかった。

さらに、レースの人気は清嶋ー尾崎（6－3）、清嶋ー山口（6－4）に集中しており、多くのファンが清嶋の勝利を期待していた。この結果は、ファンにとって大きな失望となった。

日本自転車振興会（現JKA）が発行する月刊競輪の1985年5月号でも、このレースにおけるフラワーラインの動きは「ファンにとって実に分かりにくい」と批判的な論調で報じられた。このレースを機に、フラワーラインは言葉としては残るものの、露骨に誰かを勝たせるようなプレーは姿を消すこととなった。このレースは、フラワーラインの終焉を象徴する出来事として、競輪史に刻まれることとなった。

レース結果

1着: 清嶋
2着: 尾崎

払戻金:

連勝単式（枠番連勝単式）6－3 540円

参考文献

月刊競輪1985年5月号（日本自転車振興会 発行）

外部リンク

* 日本選手権競輪決勝戦の成績 - KEIRIN.JP

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