第39回世界遺産委員会

第39回世界遺産委員会について

2015年6月28日から7月8日までの間、ドイツのボンで第39回世界遺産委員会が開催されました。会場となったのはワールドカンファレンスセンター・ボンで、ドイツでの開催は数回目になりますが、前回はベルリンで行われた第19回の世界遺産委員会でした。この委員会は、西ヨーロッパでの開催としては2009年のセビリア以来のもので、多くの国が参加し議論が行われました。

委員国の構成

委員会には、地域区分がUNESCOに従った各国の代表が参加しており、合計で多様な文化や遺産の価値を持つ国々からメンバーが揃いました。世界遺産委員会は、文化遺産、自然遺産、複合遺産に関する提案を審議し、登録の有無を決定する重要な場となっています。

新規登録物件の概要

第39回委員会では、合計24件の遺産が審議され、そのうち23件の文化遺産と1件の複合遺産が新たに世界遺産リストに追加されました。これにより、世界遺産リストに登録された物件は1,031件となりました。この委員会を通じて、シンガポールとジャマイカが新たに世界遺産保有国となり、191か国中28か国が依然として世界遺産を持たない状況が明らかになりました。

危機遺産の状況

危機遺産リストに関しては、1件の資産が除去され、3件の新たな登録が行われ、現在の危機遺産の総数は48件となりました。これは、世界中の文化遺産が脅かされているという現代の問題を反映しています。

ボン宣言と国際的議題

会議では、武力紛争の際の文化財の保護を求める条約や、ISILによる文化遺産への攻撃に対する非難が盛り込まれた「ボン宣言」が採択されました。この宣言は、文化財の保護に対する国際的な取り組みの重要性を強調しました。また、世界遺産条約履行のための作業指針が改訂され、新たに試験運用されていたアップストリーム・プロセスが正式に導入されました。これは締約国が技術的な支援を要請できる仕組みであり、今後の遺産登録の助けとなることでしょう。

日本の知床

また、六年ごとの定期報告の中で、日本の知床が取り上げられました。過去の勧告に対する取り組みが評価されつつも、まだいくつかの課題が残されていることが指摘されました。委員会では審議件数の抑制を図るため、今後は各国が推薦できる件数を制限する提案がされましたが、具体的な決定は次回に持ち越されました。

このように、第39回世界遺産委員会は多くの国際的な課題について話し合われ、様々な遺産の保護と登録が進められました。これらの決定が今後の国際的な文化遺産の保護にどのように寄与するのか、注目されます。

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