第4回20か国・地域首脳会合

2010年G20トロント・サミット：世界経済危機とカナダの対応

2010年6月26日と27日、カナダ・トロントで第4回G20サミットが開催された。世界金融危機からの回復が主要議題となり、財政政策、国際金融規制、自由貿易などが活発に議論された。カナダ首相スティーブン・ハーパーは、サミットのテーマを「回復と新たな始まり」と位置付け、世界経済の立て直しに向けた国際協調を呼びかけた。

当初はG8サミットと同じハンツビルでの開催が検討されたものの、規模の大きさからトロントに変更された。サミット準備には8億5800万カナダドルもの費用が投じられ、カナダ史上最大規模の警備体制が敷かれた。トロント中心部は厳重に警戒され、交通規制や施設閉鎖、警備人員の配置など、大規模な準備が行われた。

サミットでは、欧州連合が財政緊縮策を主張する一方、米国は景気刺激策の継続を主張するなど、各国間の意見対立も目立った。国際的な銀行税導入や途上国支援についても議論されたものの、合意に至らなかった点もみられた。一方、参加国は2013年までに財政赤字を半減させることで合意、また金融機関の資本強化も合意された。

サミット期間中は、貧困や環境問題などを訴える大規模な抗議デモが発生した。一部の過激派による暴動や破壊行為も発生し、多数の逮捕者が出た。この抗議活動は、サミット開催における警備体制の厳しさや費用増加にも影響を与えたとされている。

サミットの結果は、世界経済の回復を前進させるものの、依然として課題が残されていることを示唆している。各国の財政健全化に向けた取り組みや金融規制改革の進展が、今後の世界経済の安定に大きく関わってくることになる。

警備とインフラ整備

サミットの警備には、トロント市警察、オンタリオ州警察、王立カナダ騎馬警察、カナダ軍など、多様な組織が参加した。バンクーバーオリンピックを参考に、統合治安部隊が編成され、1万人以上の警官と多数の軍人が動員された。

トロント中心部は厳重な警戒区域となり、車両の通行規制や住民への登録カードの発行、多数のチェックポイント設置など、厳格な警備体制が敷かれた。サミット会場周辺には高さ3メートルのセキュリティフェンスが設置され、監視カメラや長距離音響装置も導入された。

インフラ整備も大規模に行われた。逮捕者収容所、抗議デモエリアの指定、公共施設の閉鎖、交通機関の変更などが実施された。また、メディアセンターにはカナダ観光をアピールするパビリオンも設けられたが、その費用が高額であるとして批判を受けた。

参加者と抗議デモ

サミットには、G20加盟国に加え、招待国や国際機関の代表者など多数が参加した。各国首脳は、経済危機や国際問題について議論し、様々な意見を交わした。

サミット期間中には、大規模な抗議デモが発生し、平和的なデモの他に、一部の過激派による暴動や破壊行為も起きた。これにより、多くの逮捕者が出たほか、街のインフラや商店にも被害が出た。警察の対応についても様々な批判が巻き起こった。

成果と批判

サミットでは、世界経済の回復に向けた努力を継続すること、財政赤字の削減、金融機関の規制強化などが確認された。しかし、その効果については様々な意見があり、成果を疑問視する声もあった。

サミットの準備や開催にかかった費用は莫大であり、その高額さについて大きな批判が寄せられた。警備費用やメディアセンターの建設費などが問題視され、「税金の無駄遣い」との声も上がった。また、サミットの目的がカナダの宣伝に偏っているという批判もあった。

経済効果についても、期待外れだったという見方がある。サミットによる抗議デモでトロント市中心部が被害を受け、経済的な損失が拡大した。さらに、海外からの渡航警告も出され、サミットの評判に悪影響を与えた。

国際的な反応

サミットの開催は、世界各国から注目を集めた。特に、カナダの警備体制や抗議デモ、サミット費用などが、多くのメディアで報道された。メディアの中には、カナダの対応を肯定的に評価するものもあった一方で、批判的な意見も存在した。フランスは、今後のサミット開催費用を抑える必要性を示唆している。

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