第43期順位戦

第43期順位戦

概要

第43期順位戦は、1984年6月から1985年3月にかけて実施された、将棋界における1985年度の主要棋戦の一つです。この棋戦は、将棋の八大タイトル戦の中でも最も長い歴史と権威を持つ名人戦において、その年度の挑戦者を決定することを主たる目的としています。

特殊な名称での開催

この第43期においては、通常「順位戦」と呼ばれている名称が公式には使用されませんでした。具体的には、最上位クラスであるA級は「名人戦挑戦者決定リーグ戦」と称され、B級1組以下のクラスは「昇降級リーグ戦」という名称で進行しました。このような名称変更は、第36期からこの第43期まで続けられていたものです。しかしながら、名称以外の制度やルールには大きな変更はなく、実質的には従来の順位戦と同様のシステムで行われていました。また、この期をもって名称変更期間は終了し、次期からは再び「順位戦」という正式名称に戻ることが決まっていたため、便宜上、本項目では第43期順位戦として記述します。

第43期名人戦七番勝負

第43期順位戦を勝ち抜いた挑戦者と、当時の名人による名人戦七番勝負は、棋界の注目を集める一戦となりました。この期は、挑戦者となった中原誠二冠が、名人位を保持していた谷川浩司名人と対戦しました。激しいシリーズの結果、中原二冠が4勝2敗で谷川名人を下し、見事に名人位を奪取しました。この結果は、第43期順位戦の最終的な目標地点であり、棋士たちが年間を通じて目指してきた最高位の行方を示すものです。

各クラスの昇降級規定

順位戦は、棋士が実力に応じて複数のクラスに分けられ、年間を通じてリーグ戦を戦うことで次期の所属クラスや名人挑戦権を争う制度です。第43期の各クラスにおける昇級・降級規定は以下の通りでした。

名人戦挑戦者決定リーグ戦（実質A級）
次期名人戦への挑戦権を獲得する棋士 1名
次期にB級1組へ降級する棋士 1名

昇降級リーグ戦1組（実質B級1組）
次期にA級へ昇級する棋士 2名
次期にB級2組へ降級する棋士 2名

昇降級リーグ戦2組（実質B級2組）
次期にB級1組へ昇級する棋士 2名
成績下位者の中から降級点がつく棋士 4名

昇降級リーグ戦3組（実質C級1組）
次期にB級2組へ昇級する棋士 2名
成績下位者の中から降級点がつく棋士 4名

昇降級リーグ戦4組（実質C級2組）
次期にC級1組へ昇級する棋士 3名
* このクラスには降級点制度はありませんでした。

各クラスでの厳しい戦いを経て、規定に基づき昇級・降級・降級点獲得者が決定され、次期順位戦の布陣が固められました。昇級は棋士にとって大きな栄誉であり、名人挑戦への道を一歩進めることを意味しますが、一方で降級は厳しい現実を突きつけ、今後のキャリアに少なからぬ影響を与えるため、どのクラスにおいても熾烈な競争が繰り広げられました。

第43期は、名称の変遷期でありながらも、将棋界の根幹を支える順位戦としての役割を十分に果たし、新たな名人誕生という大きな出来事を伴って幕を閉じました。

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