第46回社会人野球日本選手権大会

第46回社会人野球日本選手権大会

2021年の初夏、社会人野球界の最高峰を決める大会、第46回社会人野球日本選手権大会が熱く開催されました。この大会は、同年6月29日から7月14日までの16日間にわたり、兵庫県のほっともっとフィールド神戸と大阪府の京セラドーム大阪を舞台に行われました。

この大会は、いくつかの特殊な背景を持っていました。まず、開催時期についてです。例年、夏に開催される都市対抗野球大会が東京オリンピック開催準備のため秋に移行することとなり、それに代わって日本選手権が夏に開催されるという、普段とは逆のスケジュールとなりました。都市対抗と日本選手権の開催時期が入れ替わるのは、1980年の第7回大会以来、実に41年ぶりのことでした。1980年のケースも、世界アマチュア野球選手権大会の準備に伴い都市対抗が延期されたことによるものでした。

次に、会場についても例年とは異なる形式が採用されました。通常、日本選手権は全日程を京セラドーム大阪で行いますが、第46回大会ではプロ野球公式戦の日程との兼ね合いから、大会序盤の1回戦をほっともっとフィールド神戸で実施し、2回戦以降の決勝トーナメントを京セラドーム大阪で行うという、会場を分ける分割開催が実施されました。日本選手権が神戸の球場で行われるのは1996年の第23回大会以来、複数会場での開催は2010年の第37回大会以来となります。なお、2020年にも同様の7月開催・会場分割形式が計画されていましたが、新型コロナウイルスの影響により大会自体が中止されたため、この形式での開催は第46回大会が初めての実施となりました。

出場チームの顔ぶれにも特徴がありました。この大会では、通常の大会構成とは異なり、前年に行われた都市対抗野球大会の優勝チームではなく、日本選手権大会としての前回大会（2019年・第45回）の優勝チームである大阪ガスが、「前回大会優勝」の特別枠として推薦出場権を得ました。また、この大会で初めて本戦出場を果たしたチームが二つあります。クラブ野球選手権を制し、クラブチームとして歴史を刻んだ全足利クラブ、そして北海道ガスが念願の初出場を果たしました。さらに、三菱重工業の野球部再編によって誕生した三菱重工Eastと三菱重工Westは、共に本戦への切符を手にし、社会人野球界の新たな勢力として注目を集めました。

大会は厳しいトーナメントを勝ち抜く中で、数々の名勝負が生まれました。決勝戦に先立ち、長年にわたり社会人野球の発展に貢献し、この年野球殿堂入りを果たした川島勝司氏の特別表彰式が執り行われ、大会に華を添えました。

注目の決勝戦では、前回大会王者の大阪ガスと、快進撃を続けてきた三菱重工Eastが相まみえました。互いに譲らない白熱した展開となりましたが、最終的に大阪ガスが4対2で勝利を収め、栄えある優勝旗を手にしました。この勝利により、大阪ガスは大会史上3チーム目となる日本選手権2連覇の偉業を達成し、社会人野球界における強豪としての地位を改めて確立しました。

第46回社会人野球日本選手権大会は、開催時期や会場の特別な設定、そして前回王者による見事な連覇というドラマチックな結末など、多くの人々の記憶に残る大会となりました。

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