第5回全国大学ラグビーフットボール選手権大会

1969年の年明け、1月1日から5日にかけて、日本の大学ラグビー界における最高峰の戦い、「第5回全国大学ラグビーフットボール選手権大会」が開催されました。この記念すべき大会は、早稲田大学と慶應義塾大学が決勝で相まみえ、14対14の同点で試合終了。全国大学選手権史上初めて、両校優勝という形で幕を閉じることとなりました。この結果、慶應義塾大学はチームにとって初の栄冠を手に入れ、一方の早稲田大学は2年ぶりとなる3回目の優勝を飾りました。

大会の概要と変更点

この第5回大会は、いくつかの重要な変更点を含む大会でした。まず、大会自体の正式名称が「全国大学ラグビーフットボール選手権大会」と改められ、現在の名称につながる第一歩となりました。また、関東地区からの出場校を選出する方法も刷新されました。これまでの方式に代わり、関東大学対抗戦と関東大学リーグ戦のそれぞれ上位4校、合計8校による交流試合を実施し、そこでの結果に基づいて全国大会への出場権を得る4チームが決定されるという、新たな試みが導入されました。この変更は、関東地区の大学ラグビーにおける勢力図に新たな動きをもたらす可能性を秘めていました。

大会は1月1日に各地で1回戦が開催され、勝ち上がったチームが1月3日の準決勝へと進みました。そして、頂点を決める決勝戦は1月5日に行われました。なお、この大会では3位決定戦は行われていません。開催競技場は、全試合を通じて東京の秩父宮ラグビー場が使用され、多くのファンが熱戦を見守りました。

出場校

この大会には、各地区を勝ち抜いた精鋭8大学が集結しました。出場校とそれぞれの予選リーグでの成績、そして連続出場回数および通算出場回数は以下の通りです。

早稲田大学：関東大学対抗戦で1位の成績を収め、5年連続5回目の出場となりました。
慶應義塾大学：関東大学対抗戦の4位通過でしたが、粘り強い戦いで2年連続2回目の出場を果たしました。
中央大学：関東大学リーグ戦からは2位として出場。こちらも2年連続2回目の出場です。
法政大学：関東大学リーグ戦3位。前年度覇者として、5年連続5回目の出場となりました。
同志社大学：関西大学リーグの1位代表として、5年連続5回目の出場です。
関西大学：関西大学リーグから2位で出場。3年連続4回目の出場となります。
京都大学：関西地区からは3番目の代表として出場。3年ぶり2回目の舞台です。
福岡工業大学：九州地区の代表として、4年連続4回目の出場となりました。

大会の展開

トーナメント方式で争われた大会は、特に準決勝で大きな注目を集めました。慶應義塾大学は、前回大会の優勝チームであり、この大会でも優勝候補の一角と見られていた法政大学と対戦。慶應義塾は法政大学の連覇を阻止し、見事に勝利を収めてチーム史上初めてとなる決勝進出を果たしました。これにより、法政大学の5年連続決勝進出という記録は途絶えることとなりました。

そして迎えた決勝戦は、関東大学対抗戦で長年ライバル関係にある早稲田大学と慶應義塾大学という、伝統の「早慶対決」となりました。決勝戦は手に汗握る攻防の末、最終スコアは14対14の同点。延長戦などは行われず、規定により両校優勝が決定しました。これは全国大学ラグビーフットボール選手権大会の歴史において、初の出来事であり、語り継がれる一戦となりました。大会規定に基づき、日本選手権への出場権は抽選によって決められ、慶應義塾大学がその権利を得ています。

第5回大会は、大会名称の変更や関東代表決定方式の刷新といった制度面の変化に加え、決勝での初の両校優勝という劇的な結末を迎え、日本の大学ラグビー史に新たな1ページを刻んだ大会として記憶されています。

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