第50回全国高等学校野球選手権大会

第50回全国高等学校野球選手権大会

1968年の夏、阪神甲子園球場では、高校野球の歴史に新たな1ページを刻む記念すべき大会が開催されました。第50回目を迎えた全国高等学校野球選手権大会は、8月9日から22日までの13日間にわたって熱戦が繰り広げられました。

この大会は、前回の記念大会である1963年の第45回大会と同様に、特定の府県を除いて原則として各都道府県から一校が代表となる「一府県一代表制」が採用されました。これにより、北海道から選出された2校に加え、46の都府県から各1校が代表となり、合わせて48校が甲子園の土を踏みました。これは、当時の大会としては過去最多タイとなる出場校数でした。

記念大会のもう一つの大きな特徴は、全試合が聖地・甲子園球場のみで行われた点です。かつての記念大会では、出場校の増加に伴って阪急西宮球場が併用されることもありましたが、この第50回大会では大会日程が見直され、1回戦から決勝までの全47試合が全て甲子園球場で行われました。これにより、出場した全てのチームが甲子園でプレーする機会を得ることができました。

大会の開会式は、厳かで感動的な雰囲気の中で執り行われました。特筆すべきは、当時の皇太子明仁親王（現在の天皇陛下）が式典にご臨席されたことです。グラウンドに設置された特設の壇上から、全国の高校球児たちに向けた激励の言葉を述べられ、選手たちの士気を高めました。皇太子殿下のご臨席は、この大会にさらなる格式と注目度をもたらしました。

全国から集結した48校の代表は、それぞれの地方大会を勝ち抜いてきた強豪校ばかりです。大会期間中、甲子園では数多くのドラマが生まれました。延長にもつれ込む熱戦や、試合終盤での逆転劇など、高校野球ならではの緊迫した試合が続きました。例えば、1回戦では津久見対高岡商戦が延長12回にも及ぶ死闘となるなど、多くの試合が観衆を魅了しました。

激戦を勝ち上がったのは以下の8校です。

興国（大阪）
三重（三重）
静岡商（静岡）
秋田市立（秋田）
興南（沖縄）
盛岡一（岩手）
倉敷工（岡山）
広陵（広島）

準々決勝を勝ち抜いたのは、興国、静岡商、興南、倉敷工でした。そして8月21日に行われた準決勝では、興国が興南を14対0で圧倒し、もう一方の準決勝では静岡商が倉敷工を2対0で破り、それぞれ決勝進出を決めました。決勝は、興国高校と静岡商業高校という東西の強豪校の間で争われることとなりましたが、提供情報からは決勝の具体的な結果は確認できません。

この第50回記念大会は、野球の試合そのものだけでなく、様々な形で記憶に残されています。例えば、大会の開催に合わせて記念切手が発行されました。1968年8月9日、郵政省から発行された15円切手は、大会を記念する特別なデザインが施されており、当時の高校野球ファンや切手収集家の間で大変人気を博しました。

出場校数の多さ、全試合甲子園開催という特別な運営形式、皇太子殿下のご臨席、そして全国各地で繰り広げられた数々の熱戦は、第50回全国高等学校野球選手権大会を、高校野球の歴史における重要な節目の一つとして位置づけています。多くの球児たちが夢舞台で躍動し、観る者に感動を与えた、記憶に残る夏の大会でした。

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