第54回都市対抗野球大会

第54回都市対抗野球大会

1983年7月24日から8月3日にかけて、日本の社会人野球最高峰を決める第54回都市対抗野球大会が後楽園球場にて開催されました。この大会には全国から選ばれた32チームが出場し、そのうち鹿島町の住友金属鹿島が唯一の初出場チームとして名を連ねました。

大会概要

この第54回大会は、金属バットが公式に導入されてから5年目のシーズンにあたり、その影響は顕著でした。各チームの打撃力が向上し、大会全体を通して派手な打撃戦が展開されることが多く、観客を魅了しました。

また、当時の国政では日本国有鉄道（国鉄）の累積赤字問題が大きな社会的な関心事となっていました。そのような状況下でも、国鉄関連チームは健闘を見せました。東京都の東京鉄道管理局、名古屋市の国鉄名古屋、そして鹿児島市の鹿児島鉄道管理局の3チームが予選を勝ち抜いて本大会に出場。特に東京鉄道管理局は、強豪ひしめくトーナメントを勝ち進みベスト8に進出。その活躍が認められ、大会の敢闘賞にあたる小野賞を受賞しました。

大会経過

トーナメントを勝ち上がり、優勝の栄冠に輝いたのは川崎市代表の東芝でした。東芝は、今大会で最も破壊力のある打線を誇り、対戦した5試合で合計39得点という圧倒的な攻撃力で、次々と相手チームを打ち破っていきました。

決勝戦は8月3日に行われ、東芝は東海市代表の新日鐵名古屋と対戦しました。この試合でも東芝の強力打線が火を噴きました。相手にリードを許しても、すぐにそれ以上の得点を奪い返すという「取られたら倍返し」とも称される猛攻を見せ、最終的に新日鐵名古屋を大差で破り、見事な優勝を飾りました。東芝にとってこれは5年ぶり、2回目の都市対抗野球大会優勝となります。

決勝戦の勝敗投手は、東芝の黒紙投手、新日鐵名古屋の渡辺投手でした。本塁打は東芝の宮崎選手と新日鐵名古屋の山本選手が放っています。

表彰選手等

今大会で活躍した選手やチームには、以下の各賞が贈られました。

橋戸賞（最優秀選手）：宮崎剛二塁手（東芝）
特筆すべきは、宮崎剛選手の父である宮崎要氏も、第19回大会に福岡市・西日本鉄道の監督兼二塁手として橋戸賞を受賞していることです。これにより、都市対抗野球史上初となる「親子二代での橋戸賞受賞」という歴史的な快挙が達成されました。
久慈賞（敢闘選手）：渡辺剛投手（新日鐵名古屋）
小野賞（最も活躍したチーム）：東京都・東京鉄道管理局チーム
国鉄チームとしての健闘が高く評価されました。
若獅子賞（新人賞）：小川隆中堅手（新日鐵名古屋（三菱重工名古屋））

10年連続出場表彰選手

長年にわたり都市対抗野球に出場し、大会に貢献した選手には特別表彰が行われました。

池田勝之外野手（熊谷組（東京ガス））
薗田信雄投手（東京鉄道局（東京ガス））
樋口義一内野手（日本鋼管）
中本龍児外野手（河合楽器（ヤマハ発動機））
矢田秀典内野手（河合楽器（ヤマハ発動機））
吉田秀雄捕手（新日鐵名古屋）
小坂登内野手（新日鐵名古屋）
赤井淳二内野手（日本生命）

応援団コンクール

大会を盛り上げた各チームの応援団にも表彰が行われました。

最優秀賞：東芝
優秀賞：新日鐵グループ
敢闘賞：日本通運
特別賞：該当なし

この第54回大会は、金属バット時代が生んだ打撃戦の魅力、国鉄チームの健闘、そして史上初の親子二代橋戸賞受賞というドラマなど、多くの話題を提供し、都市対抗野球の歴史に新たな1ページを刻みました。

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