第6期順位戦

第6期順位戦および第11期名人戦

本項目では、1952年度に行われた将棋の主要棋戦である「第6期順位戦」と、それを受けて開催された「第11期名人戦」について解説します。

第6期順位戦

第6期順位戦は、1951年6月から1952年3月にかけて実施されました。この棋戦は、将棋界で最も権威あるタイトルである「名人」への挑戦者を決定する重要な予選システムです。

この期において、順位戦のクラス分けに関する重要な制度改定が行われました。主な変更点は以下の通りです。

B級の分割: 従来のB級が、成績上位者で構成される「B級1組」と、それ以外の棋士で構成される「B級2組」の二つに分けられました。これにより、B級内でより細分化された競争が導入されました。成績が勝ち越し（指し分け以上）の棋士は、組の定員に関わらずB級1組に組み入れられました。
各級の定員: A級を含む各クラスの定員が原則として13名と定められました。これに伴い、各クラスで人数に過不足が生じた場合は、その都度調整が行われる仕組みとなりました。
C級1組からの特別昇級: この期に限り、C級1組の1位の棋士はB級1組へ昇級し、2位および3位の棋士はB級2組へ昇級するという特例措置が設けられました。

これらの改定は、順位戦システムにおける棋士の昇降級により明確な基準を設けるとともに、特に中堅クラスであるB級の競争環境を変化させるものでした。

順位戦の結果、各クラスにおける昇級・降級者は以下の通りです。

A級：名人挑戦者1名が決定し、下位2名が降級しました。
B級：上位3名が昇級しました。
C級1組：前述の特別措置により、合計3名が昇級しました（B級1組へ1名、B級2組へ2名）。下位2名が降級しました。
* C級2組：上位2名が昇級し、下位2名が降級しました。

この第6期順位戦を勝ち抜き、名人への挑戦権を獲得したのは大山康晴九段でした。

第11期名人戦

第11期名人戦は、第6期順位戦で選ばれた挑戦者と、当時の名人である木村義雄との間で、1952年5月19日から1952年7月15日にかけて七番勝負として行われました。

名人位をかけた注目の対局は、挑戦者の大山康晴九段が卓越した力を発揮し、4勝1敗という成績で木村義雄名人を退けました。この勝利により、大山康晴は自身初の名人位を獲得しました。

これにより、長きにわたり将棋界の頂点に君臨し、十段戦など名人以外のタイトルも獲得していた木村義雄から、新たな時代を担う大山康晴へと名人位が引き継がれることとなりました。名人位を失った木村義雄は、七番勝負終了直後の1952年8月14日に現役引退を表明し、将棋界の一つの時代が幕を閉じました。

まとめ

1952年度の第6期順位戦と第11期名人戦は、将棋界において極めて重要な意味を持つ一年でした。順位戦ではB級の分割をはじめとする制度改定が実施され、その後の順位戦システムの基礎に繋がる変革が行われました。そして、この改革を経た順位戦から誕生した挑戦者・大山康晴が、時の名人・木村義雄を破って新名人となり、将棋界の新たな歴史が刻まれた epoch-making な出来事として語り継がれています。

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