第62回天皇杯全日本サッカー選手権大会

第62回天皇杯全日本サッカー選手権大会

第62回を迎えた天皇杯全日本サッカー選手権大会は、1982年の年の瀬である12月18日に幕を開け、新年を迎えた1983年1月1日まで開催されました。この由緒ある日本サッカーの頂点を決める戦いには、全国から選抜された計28チームが参加しました。

出場チーム

今大会に出場したのは、日本サッカーリーグ（JSL）1部所属の全10チームに加え、北海道から九州までの各地域予選を勝ち抜いた代表チーム、そして大学チームなど、バラエティに富んだ顔ぶれでした。JSLからはマツダ、古河電工、日立製作所、三菱重工、ヤンマー、日本鋼管、フジタ工業、本田技研、読売クラブ、日産自動車といった強豪が順当に出場。地域代表としては、盛岡ゼブラ（東北）、大協石油（東海）、京都産業大学（関西）などが天皇杯の舞台に初登場しました。ベテランの新日本製鐵が26回目、古河電工が19回目の出場となるなど、長年にわたり日本のサッカーを支えてきたチームが多く名を連ねる一方、若い大学チームや新興勢力も虎視眈々と上位進出を狙いました。

大会の展開

大会はまず1回戦からスタート。日本体育大学がPK戦の末に盛岡ゼブラを下すなど、地域代表とJSL下位チームや大学チームとの接戦が見られました。田辺製薬と大協石油の対戦や、東芝とヤマハ発動機の対戦なども注目を集めました。

2回戦に入ると、JSL勢が本格的に登場し、試合のレベルが一層高まります。フジタ工業は日本体育大学を退け、ヤンマーは延長戦を制して勝ち上がってきた松下電器を破りました。ヤマハ発動機が富士通を、読売クラブが東京農業大学をそれぞれ破り、ベスト8に進出する顔ぶれが固まります。

準々決勝では、JSL勢同士の対決が中心となりました。前回大会覇者のフジタ工業はマツダに快勝。ヤンマーと古河電工の一戦は0-0のままPK戦にもつれ込み、ヤンマーが準決勝へ駒を進めました。三菱重工とヤマハ発動機の試合は、ヤマハが1-0で勝利。日立製作所と読売クラブの試合は延長戦となり、読売クラブが接戦をものにしました。

準決勝は、フジタ工業対ヤンマー、ヤマハ発動機対読売クラブという組み合わせになりました。前回王者のフジタ工業はヤンマーに1-0で勝利し、2大会連続の決勝進出。一方、もう一つの準決勝では、初の決勝進出を目指すヤマハ発動機が読売クラブを2-0で破り、勢いそのままに決勝へと進出しました。

決勝戦

1983年1月1日、国立競技場で行われた決勝戦は、大会連覇を狙うフジタ工業と、初の天皇杯獲得を目指すヤマハ発動機の対決となりました。試合は互いに譲らず、激しい攻防が繰り広げられましたが、両チームともに決定機を活かせず、90分間を0-0で終えました。勝負は延長戦に突入。緊迫した雰囲気の中、ヤマハ発動機が待望の決勝点を挙げ、これが決勝点となり、1-0で勝利を収めました。この結果、ヤマハ発動機は創部以来初の天皇杯優勝という歴史的な快挙を達成しました。

第62回天皇杯は、強豪クラブや地域代表、大学チームが入り乱れ、延長戦やPK戦にもつれ込む熱戦が数多く繰り広げられました。そして、ヤマハ発動機が新たなチャンピオンとして日本のサッカー史に名を刻みました。本大会は、その後のJSLや日本サッカーの発展にも繋がる一歩となった大会と言えるでしょう。

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