第66期順位戦

第66期順位戦

将棋界で最も権威あるタイトルの一つである名人位への挑戦者を決定する「順位戦」。その2008年度（平成20年度）にあたるシリーズが、第66期順位戦です。本シリーズは、2007年6月から2008年3月にかけて開催されました。

主催者の変更と規定改正

第66期順位戦および名人戦は、それまで長年単独で主催してきた毎日新聞社に加え、新たに朝日新聞社が共同で主催する体制へと移行しました。これにより、名人戦七番勝負の対局規定にも変更が加えられました。具体的には、対局中の封じ手を行う時刻や、休憩時間に関する取り決めなどが改定されています。この共催化は、名人戦および順位戦の歴史において画期的な出来事であり、将棋界全体の注目度向上にも繋がりました。

第66期名人戦七番勝負の行方

順位戦A級を勝ち抜き、名人挑戦者となったのは羽生善治二冠（肩書は当時）でした。羽生挑戦者は、当時の名人であった森内俊之名人との間で名人位をかけた七番勝負に臨みました。熱戦が繰り広げられた結果、羽生善治二冠が4勝2敗で森内名人を下し、見事に名人位を奪取しました。この勝利は、羽生善治にとって五度目の名人獲得であり、同時に「十九世永世名人」の資格を得るという、将棋史に刻まれる偉業達成ともなりました。

順位戦のクラス制度

順位戦は、将棋のプロ棋士の序列を決定し、名人を目指すための重要なシステムです。棋士は実力に応じて複数のクラスに分けられ、年間を通じてリーグ戦を行い、上位を目指します。第66期におけるクラス分けと昇級・降級（降級点）の枠は以下の通りでした。

A級: 最上位クラス。ここで優勝した棋士が名人挑戦者となります。下位2名がB級1組へ降級します。
B級1組: A級に次ぐクラス。上位2名がA級へ昇級します。下位2名がB級2組へ降級します。
B級2組: B級1組の下のクラス。上位2名がB級1組へ昇級します。下位4名に降級点が与えられ、降級点が2つ累積するとC級1組へ降級となります。
C級1組: B級2組の下のクラス。上位2名がB級2組へ昇級します。下位6名に降級点が与えられ、降級点が2つ累積するとC級2組へ降級となります。
C級2組: 最下位のリーグクラス。上位3名がC級1組へ昇級します。下位9名に降級点が与えられ、降級点が3つ累積するとフリークラスへ編入となります。
フリークラス: 順位戦に参加しない、または条件を満たせない棋士が所属するクラスです。 C級2組からの降級者などが編入されます。

このように、順位戦は厳しい昇降級制度を通じて、棋士のモチベーションを高め、実力主義を徹底する仕組みとなっています。年間10局程度の対局を戦い、全ての対局結果が次期のクラスや順位に影響するため、長丁場の集中力と粘り強さが求められる棋戦です。

まとめ

第66期順位戦は、主催者の共催化という制度的な大きな変化を迎えたシリーズでした。そのクライマックスである名人戦七番勝負では、羽生善治が名人位を奪取し、永世名人資格を獲得するという歴史的な瞬間が生まれました。順位戦は今後も棋士たちの熱い戦いの舞台として、将棋界を支えていくことになります。

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