第7回全国中等学校優勝野球大会

第7回全国中等学校優勝野球大会

1921年（大正10年）の夏、日本の高校野球の源流である全国中等学校優勝野球大会は、記念すべき第7回大会を迎えました。8月14日から18日までのわずか5日間、兵庫県西宮市の鳴尾球場を舞台に熱戦が繰り広げられました。

大会の特徴

この第7回大会は、いくつかの重要な点で、それ以前の大会とは異なる特徴を持っていました。まず、大会の主催者である朝日新聞社が、出場校の遠征に伴う滞在費の一部を補助する制度を開始しました。これは、全国からより多くの学校が参加しやすい環境を整えるための大きな一歩でした。

さらに特筆すべきは、日本の統治下にあった地域からの参加です。この大会から、初めて朝鮮および満洲を代表するチームが出場を認められました。国際色豊かになったことで、大会の規模と注目度は一層高まりました。

また、鳴尾球場に会場が移ってから初めて、そして1916年の第2回大会以来5大会ぶりに、豪快な本塁打が飛び交いました。この大会では合計10本の本塁打が記録され、観客を大いに沸かせました。

試合経過

大会には全国から選抜された強豪校が集結し、トーナメント方式で優勝が争われました。1回戦では、岡山一中が函館中を接戦の末に破りました。

2回戦では、後に本塁打王を輩出する豊国中が長野中との延長12回の激闘を制し、サヨナラで勝利を収めるなど、ドラマチックな試合が展開されました。また、釜山商が杵築中に大勝し、和歌山中が神戸一中を圧倒するなど、海外からの参加校も存在感を示しました。

準々決勝では、京都一商が松山商を下し、大連商が岡山一中を寄せ付けず快勝。和歌山中は釜山商に大勝し、豊国中が盛岡中を退け、それぞれ準決勝へと駒を進めました。

準決勝では、和歌山中が豊国中に大勝し、決勝進出を決めました。もう一方の準決勝では、京都一商が大連商を破り、和歌山中との決勝対決が実現するかに見えましたが、提供されている情報には決勝の試合結果の記載はありません。

大会を彩った選手たち

この大会で記録された10本の本塁打は、以下の選手たちによって放たれました。特に和歌山中の戸田廉吉選手は2本塁打を記録しています。

1. 戸田廉吉（和歌山中）
2. 山本陸郎（豊国中）
3. 俣野勇（長野中）
4. 菅修三（明倫中）
5. 及川要一（盛岡中）
6. 沖文雄（豊国中）
7. 原田守次（豊国中）
8. 酒井貞雄（大連商）
9. 戸田廉吉（和歌山中）
10. 堀龍三（和歌山中）

また、この大会には後に日本の野球史に名を刻むことになる多くの選手が出場していました。主な選手としては、竜ヶ崎中の根本行都選手、京都一商の竹内愛一選手、和歌山中の井口新次郎選手などがいました。特に、松山商からは後に名将として知られる藤本定義氏や、プロ野球で活躍する森茂雄氏も出場しており、若き才能たちが甲子園の土を踏んだ大会でもありました。

第7回大会は、出場校の経済的負担軽減、国際的な参加、そして本塁打の復活といった点で、その後の全国中等学校優勝野球大会の発展に繋がる要素を多く含んだ、歴史的意義深い大会であったと言えるでしょう。

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