第7回全日本都市対抗野球大会

第7回全日本都市対抗野球大会

1933年の夏、全国の野球ファンが注目する第7回全日本都市対抗野球大会が、8月4日から8月11日までの期間、東京・明治神宮野球場を舞台に盛大に開催されました。

大会の概要と参加チーム

今大会は、前回大会と同じく16チームが出場しました。この16チームという出場枠は、記念大会である第10回大会を除き、その後の第17回大会までしばらくの間、都市対抗野球の標準的な規模として定着していくことになります。

全国各地から集まった参加チームの中には、都市対抗の舞台に初めて立つ顔ぶれもありました。福島市からは福島倶楽部が、そして川崎市からはコロムビアが、それぞれ初めて本大会への出場を果たしました。これにより、都市対抗野球の裾野が広がりつつあることが示されました。

一方で、黎明期から都市対抗を支え続けてきた伝統あるチームも健在でした。東京市代表の東京倶楽部、大阪市の全大阪、横浜市の全横浜、名古屋市の名古屋鉄道局、神戸市の全神戸といった5チームは、第1回大会からの連続出場記録を「7」に伸ばし、強豪としての存在感を示しました。

画期的な新制度の導入

第7回大会における大きなトピックの一つとして、個人表彰制度が新たに設けられたことが挙げられます。特に、大会を通じて最も活躍した選手に贈られる「最優秀選手」の表彰が、今大会から初めて実施されました。これは、チームの栄光だけでなく、個々の選手の卓越したパフォーマンスにも光を当てる画期的な試みであり、今後の都市対抗野球における選手評価の基準となる制度の第一歩となりました。

大会期間中のドラマ

大会期間中、選手たちは連日の熱戦を繰り広げました。特に印象的な出来事として、準決勝の一戦、大阪鉄道局吹田（大阪市代表）と大連実業団（大連市代表）の試合が記録されています。この試合は、照明設備が不十分であった当時の状況下で、プレー続行が困難となり、大会史上初めて日没によるサスペンデッドゲーム（翌日順延）となりました。これは、競技の公平性を保つために下された判断であり、当時の大会運営の一端を垣間見せる出来事でした。

栄冠の行方

多くの接戦とドラマを経て、決勝戦に駒を進め、最終的な栄冠を手にしたのは東京倶楽部でした。予選や本大会を通じて苦しい試合も少なくありませんでしたが、チーム一丸となって粘り強さを発揮し、次々と強敵を破っていきました。そして、見事3度目の都市対抗優勝旗を手にする快挙を達成しました。これは、都市対抗野球の歴史において、東京倶楽部が確固たる地位を築いたことを示す偉業と言えるでしょう。

初代最優秀選手の誕生

前述の通り、今大会から最優秀選手の表彰が始まりましたが、栄えある初代の受賞者には、優勝チームである東京倶楽部の主力として活躍した真野春美二塁手が選ばれました。彼の攻守にわたる貢献が特に高く評価され、記念すべき最初のMVPに輝いたのです。真野選手の受賞は、個人の活躍がチームの勝利に直結することを証明するとともに、今後の都市対抗における個人タイトル争いの礎を築きました。

第7回大会は、16チーム規模の定着、新規チームの参入、伝統チームの継続、そして最優秀選手表彰の新設といった様々な要素が絡み合い、都市対抗野球の歴史に新たな1ページを刻んだ大会として記憶されています。

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