第70回天皇杯全日本サッカー選手権大会

第70回天皇杯全日本サッカー選手権大会

1990年（平成2年）12月15日から1991年（平成3年）1月1日にかけて開催された、国内サッカーの頂点を決める第70回目の天皇杯全日本サッカー選手権大会です。

大会概要

この大会には、全国から選出された32チームが参加しました。内訳は、当時の国内最高峰リーグであった日本サッカーリーグ（JSL）1部所属の全12チームと、各地域の予選を勝ち抜いた20チームです。

出場チーム

JSL1部からは、古河電工、三菱自動車、ヤンマーディーゼル、NKK、フジタ、本田技研、読売クラブ、ヤマハ発動機、日産自動車、東芝、松下電器、全日空サッカークラブが出場しました。

地域代表としては、北海道代表の札幌マツダ、東北代表の山形日本電気（初出場）、関東代表の日立製作所、早稲田大学、筑波大学、富士通、国士舘大学、順天堂大学など、北信越、東海、関西、中国、四国、九州から強豪や大学チームが出場しました。特に九州代表の鹿屋体育大学は今大会が初出場となりました。

試合経過

大会はノックアウト方式で行われました。

1回戦

大会は各地で熱戦が繰り広げられました。日産自動車が札幌マツダに10-0と大勝を収める一方、マツダが日立製作所を、国士舘大学が大阪商業大学をそれぞれ延長戦の末に破るなど、地域代表がJSL勢を苦しめる場面も見られました。また、松下電器はYKKに9-2で圧勝し、その攻撃力を示しました。前回王者の読売クラブは早稲田大学に快勝し、順当に勝ち上がりました。

2回戦

2回戦では、JSL勢同士の対戦が増えました。日産自動車はマツダを退け、東芝はNKKに快勝しました。ヤマハ発動機はフジタを下し、古河電工は西濃運輸に大勝しています。波乱としては、前年度王者の読売クラブが国士舘大学に対し、1-1の同点からPK戦にもつれ込んだ末に敗れるという結果になりました。また、三菱自動車と本田技研の対戦もPK戦となり、本田技研が勝ち上がりました。

準々決勝

ベスト8が出揃った準々決勝では、日産自動車が東芝とのJSL対決を制し、古河電工がヤマハ発動機を破ってそれぞれ準決勝に進みました。本田技研は全日空サッカークラブを下し、そして松下電器は2回戦で読売クラブを破る勢いに乗る国士舘大学を降しました。

準決勝

準決勝は、日産自動車対古河電工、本田技研対松下電器の組み合わせとなりました。日産自動車は古河電工を1-0で下し決勝へ進出。もう一方の準決勝は、松下電器が本田技研に2-1で勝利し、クラブ史上初の天皇杯決勝進出を決めました。

決勝

1991年1月1日、元日に行われた決勝戦は、日産自動車と松下電器の間で行われました。両チームともに堅い守備を見せ、白熱した攻防が続きましたが、90分間では決着がつかず、延長戦に突入しました。延長戦でも得点は生まれず、スコアは0-0のまま試合終了。天皇杯史上初めて、決勝戦がPK戦によって争われることになりました。

緊張感漂うPK戦の結果、松下電器が日産自動車を破り、見事、クラブ史上初の天皇杯優勝を果たしました。

この大会は、決勝がPK戦までもつれ込むという劇的な展開と、松下電器の初タイトル獲得という歴史的な結果で記憶されることとなりました。

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