第75回アカデミー賞

第75回アカデミー賞授賞式：2003年、戦争と祝祭の狭間で

2003年3月23日、第75回アカデミー賞授賞式が開催されました。この年は、授賞式の数日前にイラク戦争が勃発するという世界情勢の中、授賞式そのものも歴史的な出来事となりました。視聴率はアメリカン・アイドルに次ぐ2番手という結果に終わりましたが、数々の話題と感動を観客に提供しました。

輝きを放った『シカゴ』と『千と千尋の神隠し』

ミュージカル映画『シカゴ』は作品賞を含む6部門で栄冠に輝き、その年のアカデミー賞を席巻しました。一方、長編アニメ映画賞を受賞した宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』は、ベルリン国際映画祭金熊賞受賞に続く快挙として、世界的な話題となりました。日本のアニメーション映画がアカデミー賞を受賞したことは、大きな注目を集めました。

政治的発言と欠席：戦争への抗議

長編ドキュメンタリー賞を受賞した『ボウリング・フォー・コロンバイン』のマイケル・ムーアは、授賞式のスピーチでジョージ・W・ブッシュ政権を痛烈に批判し、会場からブーイングが起こるという出来事がありました。また、アキ・カウリスマキ監督と宮崎駿監督は、戦争への抗議を理由に授賞式を欠席しました。これらの出来事は、式典に政治的な影を落とすとともに、戦争という現実を改めて浮き彫りにしました。

話題を呼んだ熱烈なキス

主演男優賞を受賞したエイドリアン・ブロディが、プレゼンターを務めたハリー・ベリーに熱烈なキスをしたことは、授賞式後も大きな話題となりました。この予想外の行動は、式典に華を添えるとともに、記憶に残る瞬間となりました。

主な受賞作品と受賞者

作品賞: 『シカゴ』
監督賞: ロマン・ポランスキー - 『戦場のピアニスト』
主演男優賞: エイドリアン・ブロディ - 『戦場のピアニスト』
主演女優賞: ニコール・キッドマン - 『めぐりあう時間たち』
助演男優賞: クリス・クーパー - 『アダプテーション』
助演女優賞: キャサリン・ゼタ＝ジョーンズ - 『シカゴ』
脚本賞: ペドロ・アルモドーバル - 『トーク・トゥ・ハー』
脚色賞: ロナルド・ハーウッド - 『戦場のピアニスト』
撮影賞: コンラッド・L・ホール - 『ロード・トゥ・パーディション』
編集賞: 『シカゴ』
美術賞: 『シカゴ』
衣装デザイン賞: 『シカゴ』
メイクアップ賞: 『フリーダ』
作曲賞: エリオット・ゴールデンサール - 『フリーダ』
歌曲賞: エミネム - 『8 Mile』
録音賞: 『シカゴ』
音響編集賞: 『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔|ロード・オブ・ザ・リング_二つの塔』
視覚効果賞: 『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔|ロード・オブ・ザ・リング_二つの塔』
外国語映画賞: 『名もなきアフリカの地で』
長編アニメ映画賞: 『千と千尋の神隠し』
* 長編ドキュメンタリー映画賞: 『ボウリング・フォー・コロンバイン』

In Memoriam：惜しまれながら逝った映画人たち

授賞式では、昨年亡くなった映画関係者を追悼するIn Memoriamのセグメントが設けられ、スーザン・サランドンが追悼の言葉を述べました。数々の著名な映画監督、俳優、撮影監督などがその功績を称えられました。

ノミネート作品一覧

上記受賞作品以外にも多くの作品が各部門でノミネートされました。これらノミネート作品は、それぞれの分野で高い評価を受け、映画史に名を刻む作品ばかりです。

第75回アカデミー賞は、戦争という影と、映画という輝きが交錯した、記憶に残る授賞式となりました。

もう一度検索