第75回カンヌ国際映画祭

第75回カンヌ国際映画祭

2022年5月17日から約2週間にわたり、フランスのカンヌで第75回カンヌ国際映画祭が開催されました。この映画祭は毎年世界中の映画制作にスポットを当てる重要なイベントとして知られています。

審査委員長にはフランスの著名な俳優、ヴァンサン・ランドンが選出され、映画界の多くの著名人が彼のもとに集まりました。前年まで続いていた新型コロナウイルスの影響が多少改善されたため、観客や業界関係者にとって例年通りの活気あふれる映画祭となりました。特に、今回はワクチン接種証明書やPCR検査の結果提示が不要になったことで、多くの訪問者が集まりました。

また、政治的な背景も影響を与える一因となり、ロシアのウクライナに対する軍事侵攻を受けて、カンヌ国際映画祭は正式にロシアの代表団を受け入れない方針を示しました。侵攻からわずか5日後には、その声明が発表され、以降の映画祭もこの方針を持続しました。この結果、反プーチン派の監督であるキリル・セレブレニコフの作品が唯一コンペティション部門に選ばれるなど、ウクライナの権利を擁護する姿勢が強調されました。

開会式ではウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領がリモート参加し、映画が持つ力を訴えるスピーチを行い、参加者からは感銘を受けたという声が多く寄せられました。映画は沈黙すべきではなく、社会問題に目を向けるべきだというメッセージが強く印象に残りました。

日本も多くの作品が参加し、特に注目を集めたのは早川千絵監督による『PLAN 75』でした。この作品は、「ある視点」部門で上映され、そこで特別賞を受賞しました。さらに、日本の名監督、是枝裕和による『ベイビー・ブローカー』がコンペティション部門で上映され、こちらは男優賞とエキュメニカル審査員賞を獲得しました。

映画祭の各部門には多様な作品が並びました。特に「ある視点」部門や「カンヌ・クラシックス」などには社会的なメッセージを豊富に含む映画が多く選ばれ、観客から高い評価を得ました。また、短編映画部門には3500以上の作品がエントリーし、14作品が上映されました。

今回の映画祭では、映画界の新たな才能や重要なテーマを持つ作品が大いに紹介され、国際的な交流が促進される機会となりました。参加者たちは、映画が持つ力やその影響力を改めて再認識することとなり、これからの映画界に一層の期待を寄せています。映画祭は、作品相互の競争を通じて、映画業界全体の活性化にも寄与したと言えるでしょう。

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