第77回ヴェネツィア国際映画祭

第77回ヴェネツィア国際映画祭の概要

2020年9月2日から12日までの間、イタリア・ヴェネツィアで第77回ヴェネツィア国際映画祭が開催されました。今年の映画祭は、新型コロナウイルス感染症の大流行により、その実施が危ぶまれていましたが、主催者のヴェネツィア・ビエンナーレのロベルト・チキュート社長や、ヴェネト州知事のルカ・ザイアがそれぞれ開催する意向を表明したことで、無事に行われる運びとなりました。

影響と対応

新型コロナウイルスによる影響で、例年とは異なる入場規制が導入されました。チケットは完全にオンライン予約制となり、客席数は50%に削減され、来場者にはマスク着用、検温、手指の消毒が義務付けられました。このような万全の感染防止策が施された中、世界的に初の大型映画祭として注目され、他の主要映画祭とも連帯を示す動きが見られました。

女性監督の台頭

映画祭のラインナップが7月28日に発表され、コンペティション部門ではこれまで以上に女性監督作品の選出が増えました。選ばれた18作品中8作品は女性監督によるもので、44%を占める結果に。本映画祭史上最高水準となり、業界における男女不均衡是正の動きを強く印象付けました。

受賞結果

第77回の映画祭では、様々な賞が授与されました。金獅子賞はクロエ・ジャオ監督の『ノマドランド』に贈られ、銀獅子賞は黒沢清監督の『スパイの妻』が受賞しました。また、審査員大賞はミシェル・フランコ監督の『ニューオーダー』が受賞し、その他にも多くの才能が評価されました。

審査員と作品

審査員長を務めたケイト・ブランシェットをはじめ、国際的な映画関係者が集結。各部門の審査員も著名な監督や俳優が名を連ねており、質の高い映画が選出されることが期待されました。

特にオリゾンティ部門ではアフマッド・バーラミ監督の『荒れ地』が作品賞を受賞し、他にも各種賞で多彩な作品が評価されました。特に、バーチャル・リアリティ部門においても新たな試みが展開され、今後の映画表現の可能性が広がっています。

映画祭への注目

本年は特に、新型コロナウイルスという未曾有の問題を抱えながらの開催であったため、他の映画祭からも協調体制が築かれるなど、映画業界全体が一致団結することが求められる時期でした。開会式には世界各国の映画祭代表が集まり、連帯の意志を表明する場面も見られ、映画界全体の未来への希望が浮かび上がりました。

第77回ヴェネツィア国際映画祭は、ただの映画祭にとどまらず、映画の多様性や映画産業への影響力を再確認させる重要な場となりました。

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