第88回全国高等学校野球選手権大会智辯和歌山対帝京

第88回全国高等学校野球選手権大会 準々決勝: 智弁和歌山 vs 帝京

この試合は2006年8月17日、阪神甲子園球場で行われた高校野球の名勝負です。智弁和歌山と帝京は互いに29安打、25得点を記録し、「甲子園史上最も壮絶な試合」として語り継がれています。

対戦前の状況

智弁和歌山は連続出場の3年生メンバーが期待されており、前年の決勝での田中将大の投球に刺激を受けていました。監督の高嶋仁も田中を攻略する方針を定め、強打を誇るチームに仕上がっていました。一方、4年ぶりに出場する帝京は、新たな戦術を用い、その攻撃力が評判になっていました。試合前には智弁和歌山が優位とみられ、両校の攻撃スタイルが注目されていました。

試合の進行

試合は帝京が先攻し、智弁和歌山が後攻の形でスタート。智弁和歌山が早々に馬場一平の3点本塁打で主導権を握ります。続く回には帝京が2点返し、智弁和歌山が再び得点を追加する展開。7回裏には廣井亮介が本塁打を放ち、さらなる突き放しを図ります。

八回表に帝京の塩澤が2点本塁打を放つと、ここから試合は激しく動き始めます。9回表、帝京が代打を起用し、連打で逆転に成功。ここでは沼田の3点本塁打も飛び出し、一挙に8点を挙げる活躍を見せました。

試合は9回裏に突入します。智弁和歌山は絶体絶命の状況から、橋本良平の3点本塁打で反撃を開始します。さらに、青石裕斗の適時打から押し出しによる決勝点が決まり、智弁和歌山がサヨナラ勝ちを収めました。最終スコアは13-12で、試合は2時間27分で終了しました。

采配と評価

帝京の監督、前田三夫は攻撃的な采配で話題になりましたが、去り際には適用されていないピッチャーが多く、9回表に代打を送る決断が物議を呼びました。前田は「打線をつなげたい」との思いからの采配だったと述べています。

試合後、朝日新聞は「魔物は二度笑った」と報じ、この試合が持つドラマ性が名勝負としての評価を強固にしました。智弁和歌山は準決勝で田中擁する駒大苫小牧と対戦しますが、惜しくも敗退を喫しました。

大会記録

この壮絶な試合は記録にも残り、智弁和歌山は1試合5本塁打、帝京は総計7本塁打を記録。さらには4点差からの逆転サヨナラ勝利という特異なケースもあり、高校野球の歴史に名を刻む試合となりました。

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