第9期順位戦

第9期順位戦と第14期名人戦

日本のプロ将棋界において、最も権威あるタイトルである名人位への挑戦者を決定し、同時に棋士たちの年間を通じた実力に基づく序列（クラス）を定めるのが「順位戦」です。本稿で扱う第9期順位戦は、1955年度（具体的には1954年6月から1955年3月にかけての期間）に実施された回にあたります。この重要なリーグ戦の結果は、次期クラス編成だけでなく、将棋界の最高峰である名人戦へと直結していました。ここでは、この第9期順位戦の概況と、それを受けて行われた第14期名人戦の詳細について解説します。

第14期名人戦七番勝負

順位戦の最高クラスであるA級を勝ち抜き、名人位への挑戦権を得た棋士は、当時の名人位保持者との間で七番勝負を戦います。第14期名人戦では、前年度に名人位を獲得した大山康晴名人が、この期の順位戦A級を制して挑戦者となった高島一岐代八段を迎え撃ちました。両者による手に汗握る七番勝負は、結果的に大山名人が4勝2敗で挑戦者を退け、見事に名人位を防衛しました。これにより、大山康晴は引き続き将棋界の頂点に君臨することとなりました。

第9期順位戦の各クラスと昇降級

順位戦は棋士の実力階層に応じて複数のクラスに分かれており、年間を通じて各クラス内で総当たりまたはそれに近い形式のリーグ戦が行われます。年度末の成績に応じて、次年度のクラスが決定されるというシステムです。第9期順位戦における各クラスの昇級・降級規定は以下の通りでした。

A級: 順位戦の最上位クラスであり、名人挑戦者を輩出するリーグです。この期からは1名が名人への挑戦権を獲得し、同時に最下位の1名がB級1組へと降級するという規定が設けられていました。

B級1組: A級に次ぐクラスで、A級昇級を目指す棋士たちがしのぎを削るリーグです。この期では、リーグ戦を勝ち抜いた上位2名が念願のA級へと昇級しました。一方で、厳しい競争の結果、下位に沈んだ3名がB級2組へと降級することとなりました。

B級2組: B級1組への昇級を目指す棋士たちのクラスです。この期においても、好成績を収めた上位2名がB級1組への昇級を果たしました。しかし、B級1組と同様に、下位の3名がC級1組へと降級するという厳しい現実がありました。

C級1組: 主にC級2組からの昇級者やB級2組からの降級者などが所属するクラスです。この期からは、上位2名がB級2組への昇級を勝ち取るチャンスを得ました。一方で、成績下位の1名が最下級であるC級2組へと降級しました。

* C級2組: 順位戦の最下級クラスです。第9期順位戦において、このC級2組は特別な開催方式が採用されました。当初は、その年度に四段に昇段した棋士を含む17名の棋士による総当たり戦（一人あたり最大16局）としてスタートしましたが、年度の途中でリーグ戦の形式が変更されました。参加棋士を関東と関西の二つのグループに分け、それぞれが独立した各組内での総当たり戦（一人あたり最大12局）を行う形式に改編されました。この方式変更を経て行われた東西それぞれのリーグ戦の結果、関東組から1名、関西組から1名の合計2名がC級1組への昇級を決めました。

順位戦は、将棋棋士にとって自己の実力を証明し、より高みを目指すための重要な舞台です。第9期順位戦も、多くの棋士たちが昇級や名人挑戦を目指して全力で戦い、数々のドラマが生まれた一年であり、その結果が第14期名人戦へと繋がり、将棋界の歴史に刻まれました。

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