第96回アカデミー賞

第96回アカデミー賞：輝ける受賞と影の騒動

2024年3月10日、映画の祭典、第96回アカデミー賞授賞式がハリウッドのドルビー・シアターにて盛大に開催されました。4度目の司会を務めたコメディ俳優ジミー・キンメルは、華やかな舞台を巧みに演出しました。今大会から導入されたダイバーシティとインクルージョンを重視した選考基準は、アカデミー賞の未来を占う重要な要素となりました。

受賞結果：歴史的快挙と日本の活躍

ノミネート作品は2024年1月23日に発表され、『オッペンハイマー』が最多の13部門、『哀れなるものたち』が11部門、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』が10部門と続き、熱い戦いが予想されました。『オッペンハイマー』は作品賞、監督賞、主演男優賞など主要7部門で栄冠を掴み、その勢いを示しました。一方、『哀れなるものたち』は主演女優賞を含む4部門、『関心領域』は国際長編映画賞を含む2部門を受賞しました。

日本の映画界にとっても、大きな喜びの瞬間となりました。『君たちはどう生きるか』が長編アニメーション映画賞、『ゴジラ-1.0』が視覚効果賞を受賞し、世界に日本のアニメーションとVFX技術の高さを示しました。『ゴジラ-1.0』の視覚効果賞受賞は、日本映画、そしてアジア映画にとって初の快挙であり、監督である山崎貴氏は『2001年宇宙の旅』のスタンリー・キューブリック以来二人目となる快挙を成し遂げました。

ノミネート：記録と話題

今回のノミネートには数々の記録と話題が生まれました。作品賞には史上初めて女性監督の作品が3作品もノミネートされ、女性監督の作品が5年連続でノミネートされるという快挙も達成されました。さらに、外国語作品が2作品同時にノミネートされたのも初めてのことです。演技部門では、LGBTQ+のキャラクターを演じた俳優が7人もノミネートされ、過去最多を更新しました。

『マエストロ: その音楽と愛と』のスティーヴン・スピルバーグ監督は作品賞ノミネート数を13回に更新し、自身の記録を塗り替えました。また、ブラッドリー・クーパーは自身の監督作品で2度以上の主演男優賞ノミネートを果たす4人目の俳優となりました。『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』では、リリー・グラッドストーンがアカデミー賞にノミネートされた初のネイティブ・アメリカンの女優となりました。

騒動と批判：様々な論争

華やかな舞台の裏では、いくつかの騒動と批判が起こりました。イスラエルとハマスの戦争の影響で、授賞式の開始が遅延したり、受賞スピーチで政治的な発言があったりと、国際情勢が反映される場面も見られました。特に、『関心領域』の監督による受賞スピーチでの発言は、大きな賛否両論を巻き起こしました。

また、授賞式でのアジア人俳優への扱いをめぐって、差別的な行動ではないかと批判が殺到する出来事もありました。さらに、作品賞発表の演出に関する混乱も話題となり、アカデミー側の対応にも疑問の声が上がりました。

その他

第96回アカデミー賞は、歴史的な受賞、記録的なノミネート、そして様々な論争が織りなす、記憶に残る授賞式となりました。多様性とインクルージョンを掲げる一方で、様々な問題が露呈したことで、今後のアカデミー賞の在り方について、改めて考える契機となりました。日本の映画界の活躍も、世界に日本のクリエイティビティを印象付ける大きな成果となりました。

もう一度検索