笹本恒子

笹本 恒子 - 日本の女性報道写真家

笹本恒子（ささもと つねこ、1914年9月1日 - 2022年8月15日）は、数多くの功績を残した日本の写真家であり、特に「女性報道写真家第一号」としての地位を確立しました。彼女は肖像写真を得意とし、世の中の出来事を映し出す写真によって貢献してきました。この記事では、彼女の生涯、業績、そして遺産を詳しく紹介します。

生涯と背景

笹本は東京府、現在の東京都品川区に生まれました。高等専門学校の家政科に在籍していたものの、絵を学びたいとの思いから中退し、父に内緒で絵の研究所や洋裁学校に通っていました。その後、戦前の日本において女性報道写真家が存在しなかった時代に、多くのチャンスをつかみました。

彼女のキャリアは、東京日日新聞（現在の毎日新聞）での挿絵のアルバイトから始まります。1939年に再入社し、1940年には財団法人・写真協会に入職。ここで女性報道写真家としてのスタートを切り、さまざまなイベントや著名人の活動を記録しました。

しかし、1941年には兄からの反対と健康問題により同協会を退職し、その後結婚しますが、終戦後は離婚を経て再び写真家としての道を歩むことになります。

写真家としての活動

終戦後、笹本は女性の社会的役割の変化に伴い、出産・育児をしながらも、戦後の日本で起こる女性たちの活躍や社会的事件をテーマにした作品を数多く残しました。1945年には千葉新聞に勤務し、1946年には婦人民主新聞の嘱託カメラマンとして活躍していました。そして1947年にはフリーのフォトジャーナリストとして活動を続けます。

1950年には日本写真家協会の創立会員に名を連ね、その後も写真家としてのキャリアを重ねました。しかし、長い間の活動を休止し、1985年に71歳で再び写真家としての活動を再開。国内の著名な女性有名人たちを集めた写真展で、再びその才能を世に示しました。

賞と顕彰

笹本は彼女の業績と功績に対して、多くの賞を受賞しました。2001年には第16回ダイヤモンドレディー賞、2011年には吉川英治文化賞を受賞しました。さらに、2014年には第43回ベストドレッサー賞・特別賞を受け、2016年にはアメリカのルーシー賞のライフタイム・アチーブメント部門賞を受賞しました。

2016年には撮影した100点の写真を長野県須坂市に寄贈し、2018年には東京都の名誉都民に顕彰されました。

最後の年

笹本恒子は2022年8月15日、神奈川県鎌倉市の高齢者施設で老衰のため107歳で逝去しました。彼女の死は、長い人生を通じての広範な貢献と影響を持った女性報道写真家の存在を再確認する機会でもありました。

作品と著書

写真家として、笹本恒子は多くの作品を残し、著書も多数執筆しました。代表的な写真集には『昭和・あの時・あの人』や『きらめいて生きる明治の女性たち』などがあり、時代の女性たちの姿を捉えています。さらに、彼女の半生を描いた『好奇心ガール、いま97歳』などの著書も多くの読者に親しまれています。彼女の作品や言葉は、今も多くの人々に影響を与え続けています。

このように、笹本恒子は日本の写真界に多大な影響を与え、女性の社会進出の象徴的な存在でもありました。彼女の努力と情熱は今後も忘れられることはないでしょう。

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