笹田学

笹田 学

岩手県に生まれた笹田学（ささだ まなぶ）氏は、1953年7月21日に生まれました。現役時代はラグビー選手としてフッカー（HO）のポジションを務め、そのキャリアを通じて多岐にわたる分野で貢献を続けています。

ラグビー選手としての歩み

笹田氏は岩手県立盛岡工業高校でラグビーに打ち込み、卒業後はラグビー強豪校である明治大学に進学しました。大学ではラグビー部の主将としてチームを率い、1976年度には全国大学ラグビーフットボール選手権大会で優勝、さらに同年度の日本ラグビーフットボール選手権大会では、当時社会人チームが優位であった中、社会人チームを破って明治大学史上初の日本一に輝くという歴史的な快挙を成し遂げました。この優勝は、日本のラグビー史においても特筆されるべき出来事です。

大学での輝かしい活躍が認められ、日本代表にも選出されました。1976年のブリティッシュ・コロンビア・カナダ戦で初のキャップを獲得し、国際舞台での経験を積みました。日本代表としては通算8キャップを記録しています。

横河電機でのキャリア

明治大学を卒業した笹田氏は、古豪として知られる社会人ラグビーチームを擁する横河電機株式会社に入社しました。会社では一貫して人事部門を中心にキャリアを積み重ね、組織における「人」の重要性を深く理解し、その専門性を高めました。人事部長、横河ヒューマンクリエイト株式会社代表取締役社長、横河電機株式会社執行役員・人財総務部長などを歴任し、人財戦略や組織運営において重要な役割を担いました。

特に2006年から2008年にかけては、中国の統括責任者として上海に赴任しました。中国国内に分散していた8つの拠点を統合し、連携を強化する体制を構築したことは、現地の石油会社からの大型受注獲得に貢献するなど、海外事業の拡大に大きく寄与しました。2009年には常務執行役員・人財総務部長、中国総代表を兼務するなど、会社の要職を歴任しました。その他にも、横河ファウンドリー株式会社代表取締役社長、横河電機健康保険組合理事長、横河電機厚生年金基金理事長、横河グループ福祉センター理事長など、グループ内の様々な組織で責任ある立場を務めました。

長期経営構想への関与

笹田氏は、役員の一人として、横河電機が当時推進していた長期経営構想「Vision-21 & Action-21」の実行にも関わりました。この構想では、2010年度までに特定の業績目標、具体的には売上高6000億円、営業利益750億円の達成を目指していました。しかしながら、2010年度の連結業績は売上高3256億円、連結営業利益111億円、そして67億円の当期純損失という結果となり、掲げられた目標は大きく未達となりました。この経営状況は、財務状況にも影響を及ぼし、計画されていた一部の新規事業からの撤退や、正社員数の大幅な見直し（約5000人から約3000人への減少）といった組織改革につながる一因となりました。

現役引退後の活動

横河電機を退職後、笹田氏は独立し、これまでの豊富な経験を活かしたコンサルティング活動を開始しました。人財戦略アドバイザーとして企業の組織力向上や人材育成を支援するほか、新規ビジネス開拓、スポーツマネジメント、障害者雇用・活用といった幅広い分野で専門知識を提供しています。

社会貢献活動にも積極的に関わっており、特に東日本大震災で親を亡くした子供たちが高校卒業後の進路（大学や専門学校など）へ進むための資金を返済不要で支援する「みちのく未来基金」では、2011年の設立当初から現在に至るまで理事を務め、被災地の未来を担う若者の育成を支援しています。

また、現役引退後もラグビー界とのつながりを持ち続けています。公益財団法人日本ラグビーフットボール協会の理事や日本代表強化委員会副委員長を歴任し、日本ラグビーの強化・発展に貢献しました。さらに、NHKのラグビー中継では解説者としても活動し、視聴者にラグビーの魅力を伝えています。

その他の公職

笹田氏は企業での活動や独立後のコンサルティングに加え、社業以外の様々な公的な組織においても要職を担ってきました。公益社団法人日本経済団体連合会（経団連）の教育問題委員、公益社団法人日本能率協会の評議員、日本人材マネジメント協会の監事、日本経営者団体連盟の特別委員、東京都職業能力開発協会の監事、労働省（現厚生労働省）の障害者雇用問題研究会委員などを務め、教育、人材、労働問題といった社会課題の解決に向けた提言や活動に携わりました。また、公益財団法人武蔵野高年齢者職業経験活用センターの理事長として高齢者の社会参加支援にも尽力しました。

地元である岩手県に関連する活動としては、「銀河系 いわて大使」や「東京ふるさと盛岡会会長」を務めるなど、郷土への貢献も行っています。公益財団法人日本ラグビーフットボール協会の理事やマーケッティング委員長、公益財団法人関東ラグビーフットボール協会の理事といったラグビー関連の公職に加え、日本人材総合研究所の顧問コンサルタント、そして前述の「みちのく未来基金」理事としても活動しており、その活動範囲は極めて多岐にわたります。

ラグビー選手として日本一を経験し、ビジネスの世界で要職を歴任、さらに退職後は社会貢献活動や多分野でのコンサルティングを通じて、笹田氏は長きにわたり様々な形で社会に貢献し続けている人物です。

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