等ラウドネス曲線

等ラウドネス曲線について

等ラウドネス曲線とは、異なる周波数の音に対して、どのように人間が音の大きさ（ラウドネス）を感じるかを視覚的に表現したものです。具体的には、音圧が同じでも、周波数が違うと聴感上の音の大きさが異なって感じられることを示しています。この曲線は、音に関する心理音響の研究分野で重要な役割を果たしています。

音の大きさと周波数の関係

人間の耳は、異なる周波数を持つ音に対して、同じ音圧レベルであっても異なるラウドネス感を持ちます。例えば、低い音は高い音よりも強く感じたり、その逆もあったりします。したがって、等ラウドネス曲線は、特定の音圧レベルでの感覚的な音の大きさを周波数ごとに結んだ等高線の集まりであることがわかります。

フレッチャー・マンソン曲線

1933年、アメリカのベル研究所で行われたエクスペリメントに基づき、FletcherとMunsonによって最初の等ラウドネス曲線が提案されました。この曲線は、後にさまざまな異なる研究によって改良されていきました。その後の研究では、測定方法、機器の違いなどにより、曲線が若干異なることが明らかになっています。

ISO 226とは

現在幅広く用いられているのが、ISO 226という国際規格です。これは「標準等ラウドネスレベル曲線」を定義したもので、正式名は「ISO 226:2003 Acoustics — Normal equal-loudness-level contours」です。1956年、イギリスのロビンソンとダッドソンによって、無響室でスピーカーを使用して測定されたロビンソン・ダッドソン曲線が、1965年には国際推奨規格として採納されました。その後、1987年には正式な国際規格となります。しかし、1980年代以降の研究者からは、特に1kHzより低音の周波数に関して疑問が提示されていました。

2003年には、東北大学の鈴木陽一が中心となり、大規模な研究調査が行われ、その結果がISOによって承認されたことにより、ISO 226:2003が改正されました。この国際共同研究には、ドイツ、デンマーク、アメリカ、日本などが参加し、日本からは約40％のデータが提供されています。

実験の条件

この研究は、主に18歳から25歳までの聴力に問題のない若者を対象にしています。注意すべき点は、年齢による聴力の衰えが考慮されていないため、その範囲内でも個人差がある点です。また、実験に使われたデータは一般的に滑らかな曲線として表現されていますが、個々の聴覚特性を反映するものではなく、各人の等ラウドネス曲線には、より多くの変動があることが知られています。

このように、等ラウドネス曲線は音響学や聴覚心理学において非常に重要な概念であり、人間がどのように音を感じるのかを深く理解するための基盤を提供しています。

まとめ

等ラウドネス曲線に関する研究は、音に対する我々の感覚や理解を広げ続けています。その定義や適用についも、基準の更新や新たな研究が進められ、今後の音響技術や音楽制作にも影響を与えることでしょう。

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