筑波大学人文社会国際比較研究機構

筑波大学人文社会国際比較研究機構（ICR）

概要

筑波大学人文社会国際比較研究機構（つくばだいがくじんぶんしゃかいこくさいひかくけんきゅうきこう、略称: ICR, 英語表記: Institute for Comparative Research in Human and Social Sciences, University of Tsukuba）は、茨城県つくば市天王台に位置する筑波大学附属の学術研究センターです。

本機構は、文明間の対立や衝突といった現代の課題を乗り越え、学術的な視点から日本の立ち位置を明確にすることを目指しています。その目標は、世界が直面する複雑な問題群に対処可能な、新たな人文社会科学研究を推進することにあります。

沿革

筑波大学の人文社会科学系では、国際的な視点からの研究体制強化を進めてきました。その一環として、2010年（平成22年）に「筑波大学国際比較日本研究センター（準備室）」と「筑波大学西アジア文明研究センター」が設置されました。これらの研究蓄積と体制を統合・発展させる形で、2014年に「筑波大学人文社会国際比較研究機構」が正式に発足しました。同年6月4日には開所式が執り行われ、本格的に活動を開始しました。

ミッション

ICRは、以下の3つの柱をミッションとして掲げ、活動を展開しています。

1. トランスナショナルな比較法の開発: 国家という従来の枠組みにとらわれない自由な発想と、多様な文化・社会を横断的に比較する新しい研究手法の開発に注力します。
2. グローバルな問題解決への貢献: 多様な文化や価値観が共存する社会の実現を理念とし、それぞれのアイデンティティを尊重しつつ、国際的な課題解決に向けた研究成果を生み出します。
3. 研究発信力の強化: 日本からの視点で確立された学術的知見を基盤に、各専門分野における人文社会科学の革新（イノベーション）を推進し、その成果を積極的に世界に向けて発信します。

特徴

ICRの研究活動は、いくつかのユニークな特徴によって支えられています。

国際共同研究の成果を広く発信する体制が整備されています。
研究者の自由な発想や多様性を尊重する研究環境が提供されています。
次世代を担う人材の開発と育成に重点を置いています。
日本独自の視点を取り入れた研究イノベーションの創出を目指しています。
基礎研究と、その成果を社会に還元する応用研究を融合させる拠点としての役割を担っています。

組織

2014年4月の発足時より、以下の3つの主要研究部門によって構成されています。

国際比較日本研究部門: 世界15カ国以上の地域における市民社会やガバナンス（統治のあり方）を実証的に比較研究し、現代の日本および世界が抱える問題点の分析や解決策の探求を行います。前身は国際比較日本研究センターです。
文明史研究部門: 国民国家という枠組みを超え、多様な集団が依拠するさまざまな文明が、実は根源的な基盤を共有しているという可能性を検証することを目指します。前身は西アジア文明研究センターです。
日本語・日本文化発信研究部門: 日本語や日本文化に関連する戦略的な国際ネットワーキングを構築し、新たな研究領域における共同研究を通じて、現代文化の多様性に関する知見を世界に発信します。

主要メンバー

本機構の運営には、各分野の著名な研究者が参画しています。

辻中 豊: 機構長、教授（専門: 政治学）
常木 晃: 副機構長、教授（専門: 考古学）
青木 三郎: 副機構長、教授（専門: 言語学）

主な活動履歴

ICRは、そのミッションに基づき、国内外で様々な国際会議、シンポジウム、セミナーなどを開催しています。代表的な活動の一部を紹介します。

2016年10月～12月 人文社会系 研究発信月間: 筑波大学人文社会系の研究成果を多角的に発信するイベントシリーズ。図書館特別展、哲学・思想、英語教育、日本語コミュニケーション、人文社会科学のイノベーションをテーマにしたシンポジウム、人権、言語学、日本語文化、災害と文化財保護、社会民主主義、写本研究、国際日本研究、外国語教育メディア、デジタル化ビッグデータなど、幅広いテーマで講演会や研究会が開催されました。
2015年3月 ICRシンポジウム「世界の分断化と社会変容」: フランス国立社会科学高等学院との共催で開催された国際シンポジウム。環境、社会正義、災害と市民社会、人口動態と移民、芸術と文化の影響、異文化間対話と教育など、現代世界の課題に焦点を当てたセッションが行われました。
2014年9月 ICRシンポジウム「Japan and the World after 3.11」: 東日本大震災後の日本と世界の関係性を多角的に議論するシンポジウム。震災が日本の国内政治や政策決定プロセス、消費行動、経済、そしてグローバルリーダー育成に与えた影響などが議論されました。

この他にも、ICRは活発な研究活動の一環として、多数の講演会、ワークショップ、フォーラムなどを開催し、国内外の研究者とのネットワーク構築や研究成果の発信に貢献しています。詳細な活動履歴は、機構の公式サイトなどで確認できます。

アクセス

茨城県つくば市天王台1丁目1-1、筑波大学筑波キャンパス内にあります。首都圏新都市鉄道つくばエクスプレスつくば駅下車後、つくばセンターバス乗り場から筑波大学中央または大学公園行きのバスを利用します。

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