筑波大学工学システム学類

筑波大学工学システム学類

筑波大学工学システム学類（College of Engineering Systems）は、国立大学法人筑波大学に設置されている、大学教育における理工学分野を探究する理工学群を構成する学類の一つです。本学類は、単に理論を学ぶだけでなく、人々の生活をより豊かに、あるいはより安全に支えるための「システム」を創造し、適切に運用していくための実践的な工学教育に重点を置いています。その教育の特徴は、既存の工学分野の枠にとらわれない、学際的かつ横断的なカリキュラムを展開している点にあります。

カリキュラムと主専攻

工学システム学類では、複雑化する現代社会のニーズに応えるべく、多岐にわたる工学分野を統合した四つの主専攻を設けています。

知的工学システム主専攻

主に情報工学の知見に基づいたシステム設計・構築を探究する分野です。人間に優しく、高度に知的なシステムを実現するための情報処理技術、コミュニケーションとマルチメディア、バーチャルリアリティ、通信システム、システムデザイン、人工知能など、数理工学から通信工学、画像・音響工学に至る幅広い領域をカバーします。

機能工学システム主専攻

機械、電気電子、コンピュータなどの技術を複合的に組み合わせたシステムの実現を目指します。情報技術を中心に据えつつも、ハードウェア工学やその高度な制御技術、さらには人間とのインタラクションを視野に入れた高機能化システムに不可欠な計測工学を探究します。ロボット工学や人間工学など、制御システム工学系の分野もこの主専攻の重要な柱となっています。

環境開発工学主専攻

環境問題や社会基盤の構築に貢献するシステムを開発する分野です。建築環境、防災、土木、環境工学といった伝統的な分野に加え、環境関連の機械・システム、原子力、さらには航空宇宙工学といった多様な分野を融合した学びを提供します。

エネルギー工学主専攻

資源・エネルギー問題の解決を目指し、エネルギーシステムを創造・運用する分野です。機械、原子力、航空宇宙工学といった分野に、電気、化学、制御、システム工学といった幅広い知見を統合したカリキュラムを用意しています。

これらの主専攻を通じて、学生は自身の興味や関心に応じて専門性を深めながらも、他の分野との連携やシステム全体を俯瞰する視点を養うことができます。

大学院との連携

本学類での学びは、大学院システム情報工学研究群（Graduate School of Systems and Information Engineering）へとつながっており、より高度な専門性を追求することが可能です。システム情報工学研究群には五つの専攻課程が設置されていますが、工学システム学類の担当教員は、それぞれの専門分野に応じて、知能機能システム専攻、構造エネルギー工学専攻、リスク工学専攻のいずれかに所属しています。他の専攻としては、社会工学専攻とコンピュータサイエンス専攻があります。

JABEE認定プログラム

本学類の教育プログラムは、日本技術者教育認定機構（JABEE）により、「工学（融合複合・新領域）及び関連のエンジニアリング分野」として認定されています。この認定プログラムは学類生全員が履修するため、卒業生は例外なく本プログラムの修了者となります。これにより、卒業生は国際的に通用する技術者としての素養を身につけていることが証明されます。

沿革

工学システム学類は、1977年に設置された旧第三学群を母体とし、1991年に基礎工学類と情報工学類の一部を再編・統合する形で誕生しました。開設当初は、知的工学システム専攻と機能工学システム専攻の二つが設置されていました。その後、1998年には基礎工学類と改めて改組が行われ、現在の四つの主専攻体制となりました。2007年には、所属する第三学群が理工学群へと名称変更及び改組され、以降、理工学群の一員として現在に至っています。

工学システム学類は、常に時代の変化に対応しながら、人と社会に貢献する新たなシステムを創造できる人材の育成を目指しています。

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