筑波大学生命環境学群

概要

筑波大学に設置されている教育研究組織の一つであり、生命科学、環境科学、そして地球科学という、現代社会が直面する様々な課題解決に不可欠な分野を横断的に探求する学群です。本学群は、生物学類、生物資源学類、地球学類の三つの学類によって構成されており、それぞれの専門分野を通じて、持続可能な社会の実現に貢献できる人材の育成を目指しています。

生物学類

生命現象の基礎から応用までを深く掘り下げます。細胞・分子レベルのメカニズムから個体、生態系に至るまで、多様なスケールで生命体を理解します。具体的には、生物の多様性を解明する分野、生命活動を情報として捉える情報生物学、生命を司る分子や細胞の機能を探る分子細胞生物学、農業や医療など実社会への応用を目指す応用生物学、そして人間そのものを生物として多角的に考察する人間生物学という、五つの専門コース（多様性コース、情報コース、分子細胞コース、応用生物コース、人間生物コース）を通じて、各自の興味に応じた専門性を高めることができます。最先端の研究手法を用いた実験・実習も重視され、生命科学分野における高度な知識と技術の習得を図ります。

生物資源学類

食料生産、森林・林業、水圏資源、環境保全など、人類の生存基盤を支える生物資源とその利用、管理に関する分野を対象とします。持続可能な農業や林業、水産業のあり方、食料の安定供給、生物多様性の保全、農山村・漁村地域の活性化といった幅広い課題に取り組みます。フィールドワークや実験を通じて、生物資源に関する科学的知見と技術を修得し、地球規模での資源・環境問題の解決に貢献できる専門家を育成します。

地球学類

私たちの惑星である地球そのものを科学的に探求します。地球の成り立ち、内部構造、地表で起きる様々な自然現象（地震、火山活動、気象、水循環など）、さらには過去から未来への地球の進化や気候変動を扱います。物理学、化学、生物学、数学など様々な自然科学的手法を用いて地球システム全体を理解しようとします。「地球環境」と「地球進化」の二つの主専攻が設けられており、現代の環境問題から地球の壮大な歴史まで、幅広いテーマに関する専門知識と解析能力を養います。

これら三つの学類が連携することで、生命、資源、地球という異なる、しかし相互に関連する視点から、複雑な生命環境システム全体を多角的に理解し、持続可能な未来を築くための新たな知見と技術を生み出すことを目指しています。分野横断的な学びの機会も提供され、幅広い視野を持つ人材の育成に力を入れています。

沿革

生命環境学群の設立は、筑波大学の創設とその後の教育組織の変遷の歴史と深く結びついています。

筑波大学が開学した1973年、大学の教育研究組織は第一学群などを中心に編成されました。この時、第一学群の自然学類内に地球科学主専攻が設けられ、現在の生命環境学群における地球科学分野の礎が築かれました。

続いて1975年には第二学群が設置され、その中に生物学類と農林学類が置かれました。これにより、生命科学系と農林業・生物資源系の教育研究体制が確立されました。

時間の経過とともに学問分野の再整理が進められ、1994年には農林学類が生物資源学類と名称を改め、より現代的な学術分野の呼称に即した形となりました。

そして、筑波大学が教育研究のさらなる発展を目指し、大規模な組織再編を行った2007年、既存の学群・学類が統合・再編される中で、生命環境学群が新たに発足しました。この再編においては、第一学群の自然学類にあった地球科学主専攻が、他の地球科学系の組織と統合されつつ、最終的に本学群へと加わりました。また、第二学群に属していた生物学類と生物資源学類も本学群に移管・統合されました。この再編の目的は、生命、環境、地球といった密接に関連する学問分野を一つの学群のもとに集約し、分野間の垣根を越えた連携研究や学際的な教育を促進することにありました。

生命環境学群は、これらの学問分野が築いてきた長い歴史と伝統を引き継ぎつつ、現代社会の複雑な課題に対して多角的にアプローチできる能力を持つ人材の育成に力を注いでいます。設立以来、地球規模の環境問題や生命科学のフロンティアといった課題に対し、教育と研究の両面から貢献を続けています。

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