筒井はじめ

筒井はじめ（つつい はじめ）

1970年12月7日、東京都葛飾区に生まれた筒井はじめは、デザイナー、アーティスト、実業家として、その活動領域を縦横無尽に広げている。カメラカメン、HAJIMEROCKといった名義でも知られる。

芸術活動と多分野への展開

1990年代には、芸術とパフォーマンスを学ぶためアメリカをはじめとする世界各国を巡った。帰国後、2000年からは東京を拠点に、美術と事業を融合させる独自の道を歩み始める。絵画や写真を基軸に、世界的なアート潮流と現代のポップカルチャーを大胆に交錯させる活動を展開。同年、東京都世田谷にオープンしたレストラン＆アート空間「都会の森ガーデン」は、その独特の世界観が注目を集め、多数のメディアに取り上げられ、多くのファッション雑誌の定番ロケ地となった。

初期には絵画の分野で評価を得ており、2000年には「Two Flower」が世田谷美術館展賞を受賞。翌2001年には「MAMA GOOD BYE」がジャパンアートグランプリでホルベイン賞を受賞している。この時期には、東京大学病院小児科での美術講師も務めるなど、教育分野にも関わった。

デザイナー・プロデューサーとして

多才な彼は、デザイナーとしても数々の実績を残している。2003年にはテキスタイルデザイナーとして「NINITA」と契約を結び、そのデザインは宮崎あおい、長澤まさみ、深田恭子、石原さとみといった多くの著名人に着用された。2004年には俳優・早乙女太一の舞台衣装を手がけ、2007年には早乙女太一がNHK紅白歌合戦で着用し4000万円の保険が付保されたプラチナ着物のデザインを担当した（後に紛失しギネス申請された）。

2009年には、NASCARにおけるTOYOTAと日本政府の共同チーム「YOKOSO!JAPAN」のカーデザインを手がけるという異色のプロジェクトに参加。さらに、箸ブランド「TSUTSUIHAJIME×HYOZAEMON」を発表し、これが「マイ箸ブーム」を巻き起こし、100万本の販売を記録。後には天皇皇后が使用する箸のデザインも手がける栄誉を得た。ANAの機内限定箸のデザインや、富士紡とのインナーウェアブランド「TSUTSUI HAJIME×L'HOMOS」の発表、大相撲行司である木村堅治郎（現・銀治郎）の軍配デザインなど、その活動は多岐にわたる。

また、「TSUTSUIHAJIME×HYOZAEMON」「TSUTSUI HAJIME×L'HOMOS」「NINITA」「kaneonaruki」といったブランドのデザイナーとしても知られている。

出版・映像・メディア活動

写真家としても活動しており、2008年には世界中を旅して撮りためた写真集「美しい人へ」や、早乙女太一の写真集「13-15」を出版。特に「13-15」の記者会見には、「カメラカメン」名義で覆面姿で登場し話題を呼んだ。2013年には写真集「忍び込んだ地球001〜004」「軽井沢河童合体本」を刊行している。

映像分野では、2005年にメキシコの部族に関するドキュメンタリー映像「貝紫」が日本郵政公社「第20回全日本DM大賞」銅賞を受賞。2006年にはYouTube公式チャンネル「Cameracamenfilms」を開設し、多くのアートフィルムを発表。手掛けたMVがYouTube VIDEO AWARDS JAPAN 2008にノミネートされた経験もある。2011年には3DCGアニメーション「貝星君」を制作し、第18回上海電視節で海外作品優秀賞を受賞した。

キャラクターデザインにも携わっており、2010年にはキャラクターブック「KIMITOMO」を角川書店から出版。そのキャラクターの一部は金融機関の現金封筒に採用されている。

メディア出演も多く、テレビでは「出没！アド街ック天国」「限定品コラボネーゼ」「news every」などに出演。ラジオでは2018年から葛飾FM、2019年からはかずさエフエムでレギュラーパーソナリティを務める。

社会貢献とアートの融合

2011年、大前孝太郎と共にアートユニット「ラブコモンズ」を結成。社会貢献をテーマにした共同研究をアートとして表現する活動を開始した。2013年には上野の森美術館で「ラブコモンズ展」を開催し、東日本大震災で被災した子供たちと共にライブペイントショーを行うなど、アートを通じた社会貢献活動にも力を入れている。また、2015年にはラブコモンズとして北区花火会のプロデュースも手がけた。

地域活性化にも関わり、2015年には木更津市役所屋上に絵を描き、2016年には木更津文化推進委員会の特別顧問に就任。2017年には自身が発刊したタウン誌「木更津自身」が日本タウン誌大賞で優秀賞を受賞するなど、地域に根差した活動も行っている。

エピソードと交流

「都会の森ガーデン」での出会いがファッション業界との深いつながりを生んだことや、シンガーソングライター山崎ハコのリズムレッスン・ボイストレーニングに彼の映像が教材として使われたこと、小説家狗飼恭子の長編小説に彼の名を冠した人物が登場したことなど、様々な分野の著名人との交流も知られている。プラチナ萬年筆社長から贈られた幻の万年筆で友人である大森南朋や浅草キッドに年賀状を書いたエピソードも披露されている。

国内外での多様な経験と芸術的な感性を生かし、ビジネス、メディア、社会貢献など、多岐にわたる分野で独自の存在感を示し続けている。

もう一度検索