筒仔米糕

台湾の伝統料理：筒仔米糕（トンツーミーガォ）

台湾を代表する伝統料理の一つに、「筒仔米糕（トンツーミーガォ）」があります。日本語では「筒に入ったおこわ」という意味で、もち米をベースにした、独特の風味と食感を持つ料理です。油飯や米糕といった類似の料理もありますが、筒仔米糕は、磁器や竹筒、鉄鍋といった筒状の容器で蒸すことで、他にはない強い風味を生み出しています。

材料と調理法

筒仔米糕のベースはもち米です。これに、椎茸、エシャロットなどを油で炒め、醤油や塩、酒で味付けします。この下ごしらえされたもち米を、筒状の容器に詰める前に、煮卵や肉の切れ端、肉そぼろなどを加えるのが一般的です。蓮の実や塩漬け卵黄などを加えてアレンジするバリエーションもあります。

容器に具材と調味されたもち米を満たし、じっくりと蒸します。蒸された筒仔米糕は、容器から取り出し、皿に逆さまにして盛ります。甘辛いタレをかけたり、肉そぼろや香菜、ザーサイなどを添えていただきます。

もち米以外の具材も、バリエーション豊かです。定番の椎茸に加え、干しエビや肉の切れ端などが用いられ、それぞれの店のこだわりが反映されています。

歴史と発展

筒仔米糕の歴史は古く、農業時代には竹筒を使って作られていたと言われています。その後、鉄製の筒、そしてより洗練された店では磁器の筒へと進化を遂げました。竹筒飯と類似した料理ではありますが、使用する筒の種類や調理方法の違いから、口当たりや風味に大きな違いが生じています。

台中清水地区と名店

筒仔米糕で特に有名なのは、台湾台中市清水区です。この地では、1933年、王塔先生という人物が作る米糕が評判となり、多くの弟子を育成しました。現在、清水地区には多くの米糕店が軒を連ねていますが、その多くが王塔先生の門下から生まれた店です。例えば、王塔米糕店から約100メートル離れた場所にある阿財米糕も、王塔先生の弟子である陳添財氏が創業した店です。

これらの名店では、長年受け継がれてきた伝統的な技法と、それぞれの店の工夫が凝らされた筒仔米糕が提供されています。

まとめ

筒仔米糕は、もち米を筒状の容器で蒸すことで生まれる独特の風味と食感、そして歴史と伝統が息づく台湾の伝統料理です。台中清水地区を中心に、多くの名店がしのぎを削り、それぞれの個性あふれる筒仔米糕を提供しています。台湾を訪れた際は、ぜひ本場の味を堪能してみてください。それぞれの店がどのような具材を使用し、どのようなタレで仕上げているのか、食べ比べてみるのも楽しいでしょう。

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