箭ノ根ヶ原遺跡

箭ノ根ヶ原遺跡

箭ノ根ヶ原遺跡（やのねがはらいせき）は、埼玉県入間市三ツ木台に位置する縄文時代中期を中心とした集落遺跡です。JR八高線金子駅の東方約1キロメートル、標高148メートル前後の台地上にあります。

地理的特徴

遺跡の北側には霞川が東流し、南側には木蓮寺地区を源流とする谷戸が形成されています。この地形が遺跡の範囲を東西に区切る形となっています。遺跡の東側、上谷ケ貫地区では標高が下がり、霞川の沖積面と同じ高さになります。

遺跡の規模は東西250メートル、南北100メートルで、発掘調査は主に遺跡の西部で行われました。「箭ノ根」という地名は、この付近一帯で土器や石器とともに、多数の石鏃（矢の根）が発見されたことに由来すると伝えられています。

発掘調査の歴史

これまでに2回の主要な発掘調査が行われています。

第1次調査

1952年（昭和27年）の夏、小泉功、大護八郎、和島誠一、長沢五郎らによって初めての発掘調査が行われました。きっかけは、金子村立中学校教諭であった長沢五郎が、縄文時代中期の土器が出土したことを小泉功らに報告したことでした。調査に先立ち、ボーリング調査で焼土跡が確認され、7月27日・28日に発掘調査が実施されました。その結果、縄文時代中期の竪穴建物跡1軒が検出されました。

第2次調査

2回目の調査は、入間市金子地区での土地区画整理事業に伴い、遺跡が存在する西三ツ木の予定区域内の埋蔵文化財の記録保存調査が必要になったために行われました。

検出された遺構と遺物

第1～第3調査区の発掘調査では、縄文時代中期の竪穴建物7軒と土壙13基が発見されました。これらの遺構からは、縄文土器や石器が出土しています。

遺跡の現状

箭ノ根ヶ原遺跡は、縄文時代中期の集落跡を中心とした周知の埋蔵文化財包蔵地です。遺跡は地中に埋まっており、開発された地域は調査後に破壊されている場合があるため、直接見ることはできません。しかし、みつぎ台公園（入間市三ツ木台222番地）には遺跡の説明板が設置されており、その存在を知ることができます。

参考文献

入間市史編さん室 編『入間市史』入間市〈原始・古代資料編〉、1986年3月31日。
今井, 正美、野村, 智『箭ノ根ケ原遺跡』入間市遺跡調査会〈入間市埋蔵文化財調査報告 第10集〉、1990年8月1日。

外部リンク

いるまの文化財（入間市公式ホームページ）
埼玉県埋蔵文化財情報公開ページ

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