築城せよ!

映画『築城せよ!』の概要とストーリー

『築城せよ!』は、2009年に公開された日本映画で、東京テアトルが配給を担当しています。この作品は愛知工業大学の開学50周年を記念して制作され、監督は古波津陽が手がけています。原作は彼が2006年に制作した自主映画『築城せよ。』であり、これに新たな脚本を加えて長編映画化されたリメイク作品です。

制作は2008年3月に始まり、同年9月25日には撮影に突入しました。愛知工業大学はこのプロジェクトに全面的に協力し、学生や地元住民が多くのボランティアとして参加しました。

あらすじ

物語は愛知県の猿投（さなげ）町が舞台です。この町は大きな産業が存在せず、貧しい地域で、唯一の名物は戦国時代の遺構が残る猿投城址公園です。この公園を巡って、馬場町長は「工場を誘致して雇用を生み出す」という選挙公約を掲げて当選します。一方、岩手教授を中心とした有志たちは、城の発掘と復元によって観光の拠点にしようと、激しく対立しています。

有志グループには、酒浸りの土建屋の井原勘助が参加し、彼は大学生の娘、ナツキとの関係が悪化しています。加えて、町役場職員の石崎祐一は「フラボン」とあだ名される無能さで、何かとトラブルを抱えています。

ある晩、公園で野宿するホームレスのゴン、石崎、勘助の三人が偶然井戸跡に落ち、その姿が忽然と消えてしまいます。町では「商店街からノボリが消える」など不思議な事件が起こり始め、町民集会の日には、発掘現場に異様な光景が広がっています。なんと、姿を消した三人は戦国武将になりすまし、町民たちに「築城宣言」を行っています。

この様子に驚く一方で、馬場町長は自らの肉親の因縁から、彼らへの敵意を顕にします。しかし、情熱的になった有志グループは古来の方法での築城に異を唱えます。喧嘩が勃発する中、意外にもゴンが「段ボールを使って築城する」というアイデアを提案し、みんながこの新しい試みへ協力するように促します。

ナツキは、父親を取り戻そうとしますが、彼女の計画はうまくいきません。隼人将らの築城活動は次第に町の賛同を得て進展し、町民との絆が生まれていく中、馬場は嫉妬から「合戦まつり」を提案し、混乱を狙います。

登場人物紹介

• - 石崎祐一（いわさき ゆういち）: 町役場職員で豆腐屋の息子。冷やかされて「フラボン」と呼ばれます。
• - 恩大寺隼人将（おんだいじ はやとのしょう）: かつて猿投城の領主で戦国時代の武将。
• - 井原ナツキ（いはら ナツキ）: 本作のヒロインで、建築構造学を学ぶ大学生。
• - 井原勘助（いはら かんすけ）: 土建屋の棟梁でナツキの父。
• - 馬場虎兵衛（ばば とらべえ）: 現町長で、町の活性化を図ろうとする人物。

この映画は、歴史と現代が交錯し、個々のキャラクターがそれぞれの思いを抱きながら、共に築城を目指す姿を描き出します。ユーモラスでありながらも、人の絆や地域の活性化をテーマにした温かい物語です。

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