篠原欣子

篠原欣子

篠原欣子（しのはら よしこ、1934年10月19日 - ）は、日本の実業家であり、学校法人理事長。人材派遣会社パーソルテンプスタッフの創業者として知られています。現在は、パーソルホールディングスの取締役会長、篠原学園専門学校の理事長を務めています。

生い立ちと起業

神奈川県に生まれた篠原は、幼少期に父親を亡くし、助産師として働く母親の姿を見て育ちました。その経験から、自身も働く女性として自立したいという強い思いを抱くようになります。高木学園女子高等学校を卒業後、三菱重工業に入社。その後、東洋電業への再就職、結婚、離婚を経て、スイスとイギリスへ留学するなど、様々な経験を積みました。

オーストラリアの市場調査会社での勤務を経て帰国後、人材派遣業に着目し、1973年に100万円の資金でテンプスタッフ株式会社（現・パーソルテンプスタッフ株式会社）を設立。当時は外資系企業の進出が相次ぎ、秘書やオペレーターの需要が高まっていた時期であり、そのタイミングを捉えたことが成功の要因となりました。六本木に小さなオフィスを構え、寝泊まりしながら営業活動を行い、英会話教室を開いて生計を立てるなど、苦労を重ねながら事業を拡大していきました。

苦難と成長

1998年には、派遣登録者の個人情報がインターネット上に流出するという事件が発生し、社長として謝罪する事態となりました。しかし、この苦境を乗り越え、2006年にはテンプスタッフを東証一部に上場させました。2008年には、ピープルスタッフとの経営統合によりテンプホールディングス（現・パーソルホールディングス）を設立し、会長に就任。業界を牽引する存在として、その手腕を発揮しました。

社会貢献

篠原は、ビジネスの世界だけでなく、社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。2014年には、保育士や介護士を目指す学生への奨学金給付を目的とした篠原欣子記念財団を設立し、私財を投じています。また、自身が保有するパーソルホールディングスの株式を財団に寄付するなど、次世代の育成に力を注いでいます。

評価

アメリカの経済誌『フォーチュン』で「世界最強の女性経営者」に12年連続で選出され、2009年には37位にランクインするなど、国際的にも高い評価を受けています。

著書

篠原は、自身の経験やキャリアに関する著書も多数出版しています。

『ミセスの生きがい働きがい 再就職したい女性のための本』（1986年、現代書林）
『女が輝くフリー・ワーキング “自分のキャリア"の賢い活かし方』（1988年、大和出版）
『探そう、仕事の、歓びを。』（2007年、あさ出版）
『前を向いて歩こう 私の履歴書』（2014年、日本経済新聞出版社）

まとめ

篠原欣子は、苦労を乗り越え、人材派遣業界の発展に貢献した女性経営者です。その功績は、ビジネスの世界だけでなく、社会貢献活動を通じて次世代の育成にも及んでいます。働く女性のロールモデルとして、多くの人々に勇気と希望を与え続けています。

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