篠崎輝夫

篠崎 輝夫

篠崎 輝夫（しのざき てるお）は、1929年（昭和4年）6月2日に現在の千葉県成田市に生を受けた、日本の洋画家です。2005年（平成17年）10月29日に76歳で逝去するまで、彼は光風会と日展を主な舞台として精力的に活動し、日本の美術界に貢献しました。

幼少期を千葉県で過ごした篠崎は、美術の道を志し、千葉大学教育学部美術科で専門的な学びを深めました。1952年（昭和27年）に大学を卒業後、成田町立成田中学校（現在の成田市立成田中学校）の美術教諭として後進の指導にあたります。教職に就きながらも、画家としての研鑽を積み、1955年（昭和30年）には洋画家の笹岡 了一（ささおか りょういち）に師事し、自身の芸術的探求を深めていきました。

画家としてのキャリアは、大学在学中の1951年（昭和26年）に光風会展で初めて入選を果たしたことから本格的に始まります。教職に就いていた1959年（昭和34年）には、日本を代表する美術展である日展にも初入選を果たし、その才能が広く認められるようになりました。これを機に、篠崎は画家としての活動に一層注力することを決意し、1960年（昭和35年）には成田中学校の教職を辞しました。画家としての道を一本化した後、1962年（昭和37年）には光風会会員に推挙され、同会における彼の地位が確立されました。

篠崎輝夫の代表的なテーマの一つに「絵馬」が挙げられます。この主題は、彼の画家人生において重要な受賞へと繋がりました。1964年（昭和39年）に開催された第7回新日展に「絵馬」と題した作品を出品し、見事、特選に輝きました。この受賞は、洋画家・篠崎輝夫の名を美術界に強く印象付ける決定的な出来事となりました。その後も彼は「絵馬」のテーマに取り組み続け、1979年（昭和54年）の光風会第65回展では、「絵馬による」によって特別賞を受賞しています。これらの受賞歴は、「絵馬」という日本の伝統的な要素を洋画の技法で表現するという独自のスタイルが、高く評価された証と言えるでしょう。

展覧会での活躍に加えて、篠崎は美術団体の運営にも深く関わりました。光風会では常務理事、日展では評議員といった要職を歴任し、美術界の発展や後進の育成にも貢献しました。長年にわたる芸術活動と美術界への多大な貢献が認められ、2003年（平成15年）には日本の勲章である旭日小綬章を受章するという栄誉に浴しました。

晩年まで創作活動を続けた篠崎輝夫ですが、2005年（平成17年）10月29日、原発性肺癌のため76歳でその生涯を閉じました。彼の逝去は日本の洋画界にとって惜しまれましたが、彼が絵筆を通して表現した世界、特に「絵馬」シリーズに見られる独特の画風は、今もなお多くの人々に感銘を与え続けています。篠崎輝夫は、伝統と現代、そして東洋と西洋の感性を融合させた洋画家として、日本の美術史に確固たる足跡を残しました。

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