篠田博之

篠田博之（しのだ ひろゆき）は、1951年9月10日生まれの日本の編集者、ジャーナリスト、そして実業家です。彼は、月刊誌『創』の編集長、メディア批評誌『マス読』の編集長、そして創出版の社長として知られています。また、「コミック表現の自由を守る会」の事務局長や、「日本ペンクラブ言論表現委員会」の副委員長も務めています。彼の出身地は茨城県です。

篠田は、茨城県立水戸第一高等学校を経て、1976年に一橋大学経済学部を卒業しました。当時の優秀な一橋大生は、商社や銀行への就職が一般的でしたが、篠田はそういった進路に疑問を感じ、雑誌ジャーナリズムの世界へ進むことを決意しました。彼は政策時報社に入社し、ジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせました。

1980年、篠田は政策時報社を退社し、総合評論社に入社します。そこで月刊『創』編集部に所属し、1981年には同誌の編集長に就任しました。編集長として彼は、『創』を徐々にメディア批評誌へと変貌させていきました。1982年には、『創』の編集者3人で創出版を設立。1994年には、創出版の代表取締役となりました。

篠田の編集者としての特徴は、学生運動に参加していた経験からくる左翼リベラルなスタンスです。彼は、犯罪者にも発言の場を与え、獄中からの手紙を掲載するなど、異色の雑誌編集を続けています。例えば、北朝鮮に渡ったよど号グループの声を取り上げたり、連続幼女殺害事件の死刑囚である宮崎勤の手記を掲載したりしました。しかし、彼の交友関係は幅広く、様々なジャーナリストや文筆家、大手マスコミ関係者とも親交があり、花田紀凱や一水会の鈴木邦男など、思想的に異なる人物とも交流を持っています。

近年では、日垣隆が『創』を「独裁体質」「街金に手を出した」などと批判したことに対して、篠田が「事実無根」と反論する内容証明を送付し、論争となりました。また、2014年には、柳美里が『創』で連載していたエッセイの原稿料が未払いであることを公表し、問題となりました。この件に関して篠田は、『創』が赤字であることを以前から伝えていたとし、「他の執筆者と同様に『続けよう』という意思で書いてくれている、『応援してくれている』と考えてしまっていた。認識の行き違いがあった」と謝罪しています。

篠田は、編集者としての活動以外にも、多数の著書を発表しています。単著としては、『ドキュメント死刑囚』（2008年、ちくま新書）、『生涯編集者 月刊「創」奮戦記』（2012年、創出版）、『皇室タブー』（2019年、創出版）などがあります。また、共著としては、『「有害」コミック問題を考える』（1991年、創出版）、『誌外戦 コミック規制をめぐるバトルロイヤル』（1993年、創出版）、『差別表現を考える』（1995年、光文社）、『安倍政権のネット戦略』（2013年、創出版新書）などがあります。これらの著書を通じて、彼の思想や社会に対する見解を知ることができます。

篠田博之は、その独自の編集方針と幅広い活動を通して、日本の言論界に大きな影響を与え続けている人物と言えるでしょう。

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