簡易消火用具

簡易消火用具について

簡易消火用具（かんいしょうかようぐ）とは、消防法に基づき正式に認められた消火器の代替手段であり、水バケツや乾燥砂など、一般的な消火器とは異なる種類の道具です。これらの消火用具は、特に防火対象物に対する消火能力単位数が1/3以下の場合に使用されることができるため、火災が発生した際の初期消火において重要な役割を果たします。しかし、消防機関の指導によって扱われ方が異なる場合もあるため、注意が必要です。

消防法施行令及び規則に基づく簡易消火用具

水バケツ

水バケツは、最低でも8リットルの水を満たせる専用のバケツを3つ揃えたもので、普通火災に対する1単位の消火能力を持ちます。8リットルの水バケツ三つの組み合わせは、実際に火災模型A-1を消火できることにより、その基準が定められました。以前は金属製の朝顔形状のバケツが推奨されていましたが、現在はそうした規定は存在しません。「消火バケツ」という表示が施されています。

消火水槽

消火水槽は、80リットル以上の水槽に8リットル入りの消火専用バケツを3つ併置したもの（普通火災に対し1.5単位）、または190リットル以上の水槽にバケツ6つを組み合わせたもの（普通火災に対し2.5単位）です。こちらも「消火水槽」として表示が義務付けられています。

乾燥砂

乾燥砂は、50リットル以上の一塊にスコップ1個を併置した配置で、普通火災および電気火災以外に対して0.5単位の消火能力を持っています。特にナトリウムやアルミニウム粉、マグネシウムなどの金属による火災の消火に有用で、消火器では対処できない危険物にも使用可能です。この用具は「消火砂」として表示されています。

膨張ひる石と膨張真珠岩

これらは160リットル以上の一塊にスコップ1個を併置したもので、普通火災および電気火災以外の火災に対して1単位の消火能力を有しています。膨張ひる石はバーミキュライトの仲間、膨張真珠岩はパーライトの仲間で、乾燥砂と同様の目的で使用されます。それぞれ「消火ひる石」「消火真珠岩」と表示されます。

特例として認められた簡易消火用具

三角バケツ

三角バケツは内部に隔壁が設けられており、一度に全量を放出せず、数回に分けて散水できる特徴があります。7リットルの三角バケツが2個で、消火バケツ3個と同等の消火力と見なされています。

投てき式消火弾

投てき式消火弾は、塩化アンモニウムや炭酸ナトリウムなどの水溶液をガラス製のアンプルや割れやすいプラスチック容器に封入し、火災の際に直接火元に投げ込むことにより消火を試みる民間型の消火用具です。1960年代には、消火器よりも低廉で手間いらずなため広く普及しました。ただし、毒性のある四塩化炭素を充填したものもあったため、注意が必要です。古いガラス製のものは6個で消火バケツ3個相当の効力を持つと考えられています。

まとめ

簡易消火用具は、様々なタイプがあり、それぞれ消火能力に応じた用途があります。適切に使うことで、初期消火の成功率を大きく向上させることができます。普段からこれらの用具の存在を意識し、正しい知識と使い方を学ぶことが、火災からの安全につながります。

関連項目

• - ファイテック
• - ヤマトプロテック
• - ハツタ
• - マルヤマエクセル
• - ファイヤーブランケット：難燃性の布を使って消火する方法で、水で濡らした毛布やシーツなどでも代用可能です。

外部リンク

• - 消火器・簡易消火用具についての詳細は、東京防災設備保守協会（保守協会）の公式サイトをご覧ください。

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